登山記録

登山の記録です

2023/5/1~2 鳳凰三山

 現在5月7日、ゴールデンウィーク最終日。何歳になってもこの憂鬱感からは逃れられない。
今年は東京(ライブ)→山梨(山)→名古屋→福井(山)と詰め込みスケジュールで楽しかった。
特に前半戦の鳳凰三山はとても良い登山になった。久々のソロ山行だったので記録する。


1.4/29-30 東京
 4/29は大塚にて松岡ななせのライブに参加。
2月アイカツミュージックフェスタFINAL後に熱に浮かされて予約したものだった。
ソロライブでのななせは、アイカツのステージのオラオラ感が減って真摯さが割増された印象で(いい意味で)ギャップがあった。
あと正統派アニソンというか、泣きゲーっぽい曲好きなんだなと思った。
DNAに刻み付けられた感じの歌がすごく良くて楽しいライブだった。
一緒に行ったゆーさんがジャンケン大会で鬼の勝率をたたき出していて笑った。
夜にジンギスカンラムチョップを食べて大変美味しかったが衣類がめっちゃ臭くなり後悔した。


 4/30は昼に大学からの友人と中本に行って飲んで、終わり次第山梨の韮崎へ移動した。
この日から登り始めることも考えたが、天候悪との予報で順延したのだった。ただ現地に行ってみると普通に晴れてたな。
韮崎駅近くの謎の旅館(民宿?)に泊まる。客は自分だけ。中はきれいで値段は安く良かった。
近くに大きなショッピングモールもあったので、山の買い出しをしてこの日は早々に就寝した。


因みに、今回の鳳凰三山
 ①東京でのライブが終わってから行ける
 ②チェンスパで行ける(冬靴、冬装備はライブ行くのに邪魔のため)
 ③天気見て動ける、予約が要らない
の全てを満たす素晴らしい山ということで決めた。
改めて読み返した「山を渡る」の鳳凰三山回はとても良かったし、計画した時からワクワクしていたのだった。
靴は卸し立てのサロモンX ULTRA 4 MIDで臨んだ。とても軽く動きやすいミドルカット。
街でも山でも気軽に履ける快適さは素晴らしい。ソールは相当柔らかいので、岩稜の山行くときはやっぱ冬靴かな、とも思った。


2.5/1 御座石鉱泉鳳凰小屋
 今回の行程はシンプルで、
 1日目:御座石鉱泉→燕頭山→鳳凰小屋(テント泊)
 2日目:鳳凰小屋(テントにデポ)→地蔵ヶ岳、観音ヶ岳、薬師岳を回って下山の計画。


 7:10韮崎駅発のバスで御座石鉱泉へ移動する。途中の道は中々オフロードでよくもバスで行けるな、、と感心していたら、着いた先の駐車場に沢山車が停まっていて驚いた。
8時に登り始め、御座石鉱泉(古いホテル)の裏手を進む。初っ端から傾斜が割とあり、ストックを持ってき忘れたことをひどく後悔する。ふくらはぎにかかる負荷が大きく、こむら返りを起こしかねなかったので水と塩分を気持ち多めに摂って登った。
同じペースで登るおじさんとすれ違い様に話すと、ここから燕頭山(つばくろやま)までは急坂のようだ。

今回は妻と位置情報共有するため、試しにYAMAP(有料プラン)で記録していた。
改めて見ると、最初1,000m位の登りが大変なことがわかる。頑張った。道中は思い返しても無心だった。

岡本太郎の犬の花壇のような木


燕頭山頂上前後から、なだらかで広い山頂が広がるいい森になってきた。

テンションが上がり、楽しい山歩き!も束の間、道に段々雪が出始めてきた。
結局後半は、雪と氷と岩まじりの登山道だった。チェーンスパイクが最適な状況だったので、つけっぱなしで進む。
この辺りは序盤の疲れや歩きづらさも相まって、傾斜のわりにペースが出なかった。
更に時折危ないトラバースも数か所あり、悪態をつきながら注意して歩いた。

本当に危ない箇所は写真撮れてなかったな。誰かが落としたストックがあったが、これは取れないなと思った。

道中に見上げると観音ヶ岳。立派!


 12時過ぎ、鳳凰小屋へ到着。横で水がドバドバ流れていて嬉しくなった。
受付してると小屋のお兄さんが「それ、雲ノ平ですか?」「ウェア、ミレーですよね?」と話しかけていた。
見ると同じ雲ノ平山荘手ぬぐいを同じ巻き方していて笑った。ルートについても色々教えてくれた。
観音ヶ岳の巻道がヒドいことを聞けたのは特に良かった。

我が家を設営。

我が家からの景色
この日は気温がちょうどよく、入口を開けて酒を飲んで飯を食べ昼寝をしていた。


 3時くらいになり、ちょっと夕日っぽい景色を見ようと思い地蔵岳へ向かう。
しばらく踏み抜きそうな雪を上ると、「賽の河原」エリアにたどり着く。

お分かりいただけただろうか?砂の急斜面である。
小屋のお兄さんは「超下りやすいです!」と言っていたエリア。裏を返すと、めちゃくちゃ登り辛い!
3歩進むと2歩沈み込んでいく。一行に足が進まない。
賽の河原って、三途の川の畔で死んだ子供が頑張って積んだ石積みを獄卒が容赦なくぶっ壊す場所だったな。
行けども進まぬこの徒労感、賽の河原ってそういうコト...!?など考えながらぜえぜえ登った。

オベリスクが近づいてきて面白い。振り向くと甲府盆地が見下ろせた。景色だけが救いだった。

やっとのことで辿り着くとお地蔵さんがお出迎えしてくれた。賽の河原にお地蔵さん、何か子供とゆかりがあるのだろうか。

とりあえずオベリスクに接近!漫画の山を渡るを思い出すな~。
近づくと全然道がなく上り詰められなさそうだったので適当な場所で引き返した。

富士山がお目見え。キレイだな!

賽の河原を登ったあたりはイマイチ景観がない。横にある赤抜沢ノ頭まで登ってみると、一気に景色が開けた。

白峰三山がめちゃくちゃ近い 感動した。
明日向かう観音ヶ岳方面からは、続々と人がやってきた。夜叉神峠から入ったのか、ドンドコ沢から入ったのか。

振り返るとオベリスクが非常にカッコいい。瑞牆山の背中を凝縮したような威容だ。
 そのまま30分位ぼーっとしているといよいよ自分だけになった。風が強い以外は最高だった。
夕焼けまで粘りたい気持ちも若干あったが、流石に風が辛くなってきたため撤退した。
下りの賽の河原はもふもふの雪を下っているような感覚で快適だった。ログを見ると20分でテント場に戻っていた。
楽しかったが、明日これを登り返すのか...という気持ちを殺して晩飯を食べた。

山コーヒー


 夜は星でも見るかと思ってゴロゴロしていたら、夜7時くらいにパラパラとテントを叩く音がし始めた。
見ると雪が降っている!テント内も一気に寒くなってきたため、初日はさっさと就寝した。
夜は結局浅い眠りで終わった。夜中に見た星が本当に美しく良かった。


3.鳳凰小屋→鳳凰三山周遊→御座石鉱泉
 朝3時に起床し、朝食を食べ暗い中地蔵岳へ向かった。
ヘッドライトが暗くて萎えた。というのも、前日気付いたらザックの中で勝手に点灯していたのだった。
登山を始めた6年前に購入したスポーツデポで最安のヘッドライトだったが、この時コイツを捨てて買い換えることを決意した。
 足元をテント用ライト(スノピのたねほおずき)で照らしながら、昨日歩いた雪道を歩いた。昨晩降った雪と冷え込みで雪がカチカチに凍っていて歩きやすく助かった。
賽の河原に到着するとヘッドライトを片付け、辛く険しい道を登る。雪と冷え込みで若干、若干足場が固まっていてよかった。
振り返るとそこには甲府盆地

道中の巨石にカメラを置いて固定して撮影した。角度は別手段で直す。
これを見るために、こんな時間にわざわざ登ってきた。夜明け前の時間が一番好き。山に泊まる喜びがここに詰まってる。


頑張って登り切り、赤抜沢ノ頭あたりで日の出を迎えた。

振り返ると白峰三山のモルゲンロートが広がっていて嬉しくなった。

日の出と白峰三山に挟まれた稜線を歩いていく。昨日降った雪の上に踏み跡はまだなく、ポツポツと獣の足跡だけが続いていた。
オコジョかな?と思いながら道を進む。この獣のルートファインディング能力はかなり高くて、行く道には必ずコイツの足跡があって嬉しくなった。

白に日の出の赤が映えて楽しい。

これから行く道もこの時間が一番カッコよかった。


観音ヶ岳へ向かう途中で段々人とすれ違うようになった。みんな南御室小屋辺りに泊まっていたんだろうか?
岩の道も多いが基本チェンスパ着けたままで行動した。

観音ヶ岳山頂へ到着すると、更に景色が開けて富士山が浮かび上がってきた。以降は富士山めがけて進んでいく。

薬師岳の先に浮かぶ富士山。壮大だった。
観音ヶ岳から薬師岳は割とすぐだった気がする。


薬師岳山頂は開けていた。風がバカ強い!
一通り景色を眺めてから来た道を戻っていく。
これまで来た道を振り返るのは得も言われぬ気持ちになる。

ずっと景色が良くて心底いい山だなと思いながら歩くことができた。

遠くに北アルプスが浮かんでいるのもポイント高い。


 ざざっと来た道を戻り、8時過ぎにテント場に戻った。到着すると山小屋の人が外でご飯を食べていた。お疲れ様です。
休憩して、荷物を片付けテントを干す。まだ雪が積もっていたが日差しが気持ちよく、きれいに乾いてくれた。
食べ物が行動食のみになってしまったため、鳳凰小屋で買ったカップ麺を食べた。ついでにオベリスク手ぬぐいも購入。水を補給し9時半に下山開始。
 帰りもキレイに雲が取れていて、行きでは見えなかった八ヶ岳や下界を見張らせて気分が良かった。クソみたいなトラバースはやっぱりクソだったので悪態を付きながら下った。
 燕頭山には10時半過ぎに到着した。ここで帰りのバスをおさらいする。12時半発のバスがあるけど、コースタイム的には間に合わなかったので15時過ぎ発のバスに乗るつもりでゆっくり下った。
 しかし燕頭山からの下りで膝が痛くなってきた。この痛みは鳥海山以来だな。ミスった。
ふくらはぎや前腿の筋肉が全然機能していない感じを受けた。コイツらが疲れたから、膝に衝撃がいくようになってしまったのだろうか。ストックを忘れたことを心底悔やんだ。
ただ歩き進める、意外と12時半に間に合いそうな中途半端な時間になったため、(膝を)諦めて一気に下ることにした。

 奮闘の結果、12時10分位に御座石鉱泉に到着。

ヤマップめっちゃ赤くて笑った。

 御座石鉱泉のおばあちゃんからバス券を購入して12時半発のバスに乗った。

15時過ぎのバスに乗ることになったらここで風呂に入ろうと思っていたが、帰って調べると信じられないほど評判が悪く、そもそもコロナで日帰り入浴やってないというコメントもあり、早く降りてホント良かったと胸をなでおろした。


 帰りは韮崎駅小淵沢塩尻(ここまで鈍行)→千種(特急しなの)と乗り継いで帰宅した。
終わってみると2日で累計高度±2,825mというハード山行。にもかかわらず下山後まともな飯にありつけず大変だった。
小淵沢で名物といわれた駅弁を特急しなので食べることができて一命を取り留めた。2重でモリモリ。美味しかったし助かった。


 翌日は朝から妻と福井旅行・荒島岳登山が控えていたため、帰ってすぐ洗濯して荷造りをするという詰め込みプランになった。我ながら頑張った。
鳳凰三山のダメージはすさまじく、車を降りるだけで足がプルプルするほどの筋肉痛に苛まれたが、中一日で荒島岳に登ることが出来たので人間なんとかなるもんだと我ながら感心した。
尚、福井では妻の親戚に1万円の和牛ステーキ300gをごちそうになるという一生忘れられないイベントを経験した。お陰で筋肉痛も治った。あんな美味しいステーキは初めてだった。分厚いのに溶ける肉、忘れられない。ありがとうございました。


4.振り返り
詰め込み東京→鳳凰三山は大満足に終わったが、反省もそこそこあった。
①食料
 ピッタリ、むしろ1食足りなかった。
 今回はアルファ米×2、カレー、パスタ200g、パスタソース×1、ツナ、焼き鳥缶詰を持参。正直鳳凰小屋で軽食くらい食べれるもんと思っていたが、GW中は軽食提供しておらず1日目昼にアルファ米とカレーを使うことになった。
 最終日にカップ麵を食べられたので事なきを得たが、正直ギリギリだった。
 行動食・お菓子も割と多めに持って行ったが、主食相当の溜まる食べものが少なく物足りなかった。ポリッピーは量十分だが飽きてしまった。ピッタリなのは良かったものの、不足する恐怖の方が大きかった。


②ストック忘れ
 これがあったらこむら返りの心配や下りの膝痛も軽減されていただろう。重量ある時はあるべきだなと痛感した。


③ヘッドライト
 帰りの電車で雨蓋を開くとまた勝手に点灯していた。帰ってすぐ捨てて新しいヘッドライト(ブラックダイヤモンドのUSB給電式!)を買いました。俺はコイツと生きていきます。6年間感謝しているが1回も明るいと思ったことはなかったな。劔岳で銀ちゃんのヘッドライトが明るすぎて感動したが、やっとその域に至ることが出来た。


④カメラの充電
 充電し切れていなくて2日目には電池切れ寸前だった。要所だけ撮るようにしたお陰で何とか最後まで持ったが、もったいなかった。


 鳳凰三山は今年は恐らく雪が少なく、チェンスパで丁度歩ける良い山になっていた。
小屋のお兄さんが「(地蔵岳辺りは)何回行っても最高ですから」と言っていたのが印象深い。巨大な南アの壁を真横に、奇岩と空中散歩を楽しめる良い山だった。体力勝負の印象を受けたので、普通に行くなら夜叉神峠発をお勧めします。


以上