登山記録

登山の記録です

2023/08/16-17 北岳、間ノ岳

0.近況

 

7月は色んな山に行けた。

最初は二泊三日パノラマ銀座。蝶ヶ岳常念岳とどデカい山を歩くことができた。

初日の蝶ヶ岳は爆風でテント吹っ飛ぶ寸前までいったが、優しい老夫婦に助けられなんとか泊まれた。感謝しかない。

 

次は木曽駒ロープウェイから入り一泊二日空木岳。昨年同日に木曽駒ケ岳にてプロポーズした記念に、憧れていた山にアタックしたがこれも非常に大変だった。

檜尾小屋キャンプ場は素晴らしい場所で、空木岳へ向かう稜線も最高だったがなんせ長い。厳しいアップダウンと岩登り、山頂からの1,700m下山(悪路あり)とてんこ盛りだった。

大変だったが妻もなんとか踏破できていてよかった。尊敬だ。しかも翌週富士山に登っていてすごすぎる。

 

そして夏休み、こんにちは〜かほですの動画をきっかけに北岳間ノ岳へチャレンジすることを決めた。

南アはちょいちょいいったが、日本で二番目に高い場所に登るのは初めてだ。ワクワクしながら計画を立てたのだった。

 

1.8/16 甲府で前泊

当初は8/15に前乗りし8/16-17、北岳肩の小屋泊を計画していたが、台風直撃のため断念し日程を1日ずつ後ろ倒し、またテン場の予約が可能な北岳山荘へ泊まることにした。

8/16は台風一過で晴れるだろうと見積もったが、結局天気が悪そう。

もう一日後ろ倒しを検討したが、北岳山荘が空いておらず諦め、当初予定で行くことにした。

 

8/16はバスで甲府へ移動した。昼過ぎに到着し街を散策する。カフェで旬の桃を食べることができたのがよかった。

しかし夕食は選択肢が少なく困った。名物がほうとうとフルーツ、吉田のうどん位しかない。店舗もあんまり空いていない。困って地元料理メインっぽい居酒屋に入ったが、まあそこそこだった。

前来たときも困りに困って謎のステーキ屋に入った覚えがあったが、状況は変わっていなかったようだ。コンビニで色々買い込みさっさと就寝した。

 

2.8/17 広河原→八本歯のコル→北岳山荘

朝3時に起床し、4時にホテルを出た。バスは4時半くらい発だが、着いたら既に人が並んでいた。

その後も続々と人が並びだし、40名弱が待つ状況になった。

そして到着したのは至って普通の路線バス。もぎりのおばちゃんが言うには、座れるのは24名。

広河原まで2時間かかるが、立ちっぱなし出るか…?と思ったらホントに出た。早出したお陰で私らは座れたが、見てるだけでも辛すぎる。

バスは以前仙丈ヶ岳に行った以来か。非常に険しい道をバスは走っていく。文句はあるが、運行してくれるだけで感謝だ。

 

6時半位に広河原へ到着。広河原山荘がキレイになっており印象が変わった。

ここで給水し朝食を摂り、7時過ぎに出発した。水はビジターセンターの横で汲めます。

最短経路の大樺沢ルートは長らく通行止め(多分今後も通れない)のため、白根御池小屋の方へ向かった。

 

最初から結構な急登で南アの洗礼を浴びた。2時間ほど登ると横へ移動する形の道になり、登らずに済んだが細かいアップダウンはあり楽ではなかった。

森はすごくいい。苔と背がそこそこの木々を見ると南アっぽいなと感じる。

 

白根御池小屋で一度休憩&給水。水が汲み放題で美味しくて助かる。

ここからの道を検討した結果、天気が崩れる可能性が高かったためさっさと北岳山荘へ行くべく、八本歯のコルを経由して登ることにした。しかしこれが大変だった…。

大樺沢二股からの道は川沿いの尾根に取り付き上まで登り詰めるルートになる。これがガレている上細いやら崩れるやらで歩き辛かった。そもそも傾斜もある。

更に途中、10時位に雨が降ってきた。想定よりずっと早い。最初は降って止んでを繰り返したが、途中からは本降りになり、結局深夜まで降り続いたのだった。

4時間強雨に降り続けられて山を登ったのは初めてだ。しかも雨のピークと傾斜のピークが重なり心も身体も大変だった。それでも自分はまだいいが、妻は一層しんどかったようで…本当に良く頑張ったと思う。

全身濡れすぎて途中からどうでもよくなってきた。ラジオで「大雨で一定以上濡れると気にならなくなる」みたいなことをARuFaが言ってたが、ホンマそれやなと思った。

 

八本歯のコルからはキツめの階段、ハシゴが連続した。これもびしょ濡れで登るのはメンタルにくる。防水のはずの手袋を絞ると水が漏れてくる。ファイントラックのこれ、意味あるんやろか…乾きやすいのはメリットだったが。

白いもやに包まれて、北岳バットレスが見えた。迫る岩壁の巨大さは、今まで見た中でもトップクラスではないだろうか。初めて涸沢へ行く途中に見た雨の中の岩壁を思い出していた。不思議と頑張ろうという気持ちになれてよかった。雨がひどすぎて写真を撮れなかったので、あの威容は頭の中にしかない。

 

ある程度登り切ると雨が弱まり、北岳山頂や稜線が見えた。ここで行動食を食べ一呼吸つく。結局昼飯も食わずに乗り切ったので本当に頑張った。

そこからは1時間半くらい、雨の中稜線を歩いてなんとか15時に北岳山荘へ到着した。この頃にはパンツまでびしょ濡れ。靴は奇跡的に大丈夫だった。

 

テント泊の予定だったが、何もかも乾かないし夜冷えるリスクがあったので急遽小屋泊へ切り替えた。キャンセルもあったのだろうか、泊まることができて一安心した。

小屋泊は結構久しぶり。服を乾かしラーメンを食べ昼寝をして過ごす。毛布が二枚あってよかった。パーテーションにストックを渡して物干しにしている人がいたので、真似してあらゆるモノを乾かしていた。尚、乾燥室に入れていたものたちは大して乾かなかった。

 

6時すぎにパスタを作って食べた。北岳山荘の自炊室はごく限られた土間のようなスペースであり、順番待ち必須かと思ったが意外と夜、朝と座ることができて助かった。2人で作ると効率が良いのでありがたい。

 

小屋は水を引いているらしく使い放題、トイレは水洗便所で非常に清潔だった。北岳肩の小屋は水源がないので、この差は大きい。総じて快適な小屋だった。何より北岳の真下。間ノ岳へ往復3時間弱かつ荷物デポできるこの立地は素晴らしい。泊まってよかった。

 

3.8/18 間ノ岳北岳→下山

朝3時に起床。外に出ると満天の星空!昨日ひどい目にあったかいがあった。夜通し干していたズボンとレインウェアは湿りきっていたが、着干しだと言い聞かせて着用した。

ファイントラックの長袖は濡れっ放しのため諦めた。コイツ暑いし乾かんし良くない服なのでは?と最近感じる。レイヤリングシステムへの信用なくなったな。長袖速乾ウェアでいいやつあったら買います。

その間、夜の撮影にトライした。思うようにはいかなかったのでリトライしたい。

 

色々と準備をして4:50出発。歩くうちに日の出し、どんどん北岳が赤に染まってきた。

この日は雲海、富士山、後ろに北岳前には間ノ岳と素晴らしい景色だった。荷物はデポして身体は軽い。実は新しいカメラのデビュー戦だったがやっと活躍の時が来た。

 

間ノ岳への道はそんな危険な場所もなく歩きやすかった。中白根山などちょいちょいピークをこえて、6時半位に間ノ岳に着いた。

正面には果てしなく続く南アの山々が見えた。ここまで来ないと、間ノ岳に隠れてこの景色は見えないのである。

農鳥岳〜赤石三山以南は未踏の地だ。以前峠から山並みを見たことはあったが、たおやかな稜線を上から眺めるのは全く様子が違う。これを伝って歩けるんだというロマンとスケールのでかさを感じた。

 

反対には遮るもののない一面の雲海と富士山が見えた。絵になる景色。

間ノ岳山頂はだだっ広く、楽しく過ごせた。以前この稜線で落雷があり若者が死んだニュースを見たが、そんなことは微塵も感じさせない穏やかさだった。

https://hra-lifestyle.com/2019/08/%E5%8D%97%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%97%E3%82%B9%E3%80%8C%E5%8C%97%E5%B2%B3%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%A6%E8%90%BD%E9%9B%B7%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AB%E9%81%AD%E9%81%87%E3%80%82%E5%91%BD%E3%81%AE%E3%81%82/

なんと第1発見者の記事が出てきた。事故のあった中白根山の辺りは普通の道だった。悪天候でも突っ切れるだろう。ただこのリスクは常について回る。忘れてはいけない。

 

しばらく過ごして北岳山荘へ戻る。こちらから見る北岳は非常に格好良い。

小屋に戻ってデポしていた荷物を整理していると、ヘリが来るということで隅に追いやられた。大天荘に泊まったときヘリの威力を思い知らされたので、そそくさと引き下がった。妻はこのせいでしばらく小屋に近付けなかったようだ。

 

再度リュックを背負い直す。やはり重い。これを担いで8時半に出発。帰りは北岳→肩の小屋→草すべり経由で下山した。間ノ岳北岳山荘にサヨナラバイバイ

北岳山頂に近づくほどに雲が上がってきた。北岳山頂と前にドンといる仙丈ヶ岳以外は、概ね雲に埋まっていたように思う。さっきまでいた間ノ岳も雲に覆われていった。これはこれでいい景色だ。

この登りは妻に大変堪えたようだった。初日から予想外の靴擦れと豪雨にシバかれながら、結果使いもしなかったテント泊装備を背負って登るのはそりゃキツイ…と思いながら一緒に登った。

間ノ岳は軽快だったから、荷物重量の影響の大きさを感じた。軽いに越したことはない。

 

1時間半位して北岳山頂に到着。日本で二番目に高い場所にきたのか…と感無量だった。

山頂は結構広く、草も生えており虫が結構居たのが印象的だった。北ア、中央アのデカい山は岩しかない(主観)から、南アらしさを感じた。ドンとでかい山が各々そびえ立っているように感じるのは、合間にハードな下りと緑があることが大きいだろう。

 

そして引き続き富士山が大きかった。仙丈ヶ岳から見るとちょうど北岳があって富士山がオマケ位に見えたので、印象大きく変わった。日本で一番でかい山がこんな形なのは不思議と嬉しくなる。国の誇りがあるとしたらここかなと思う。

 

北岳肩の小屋でも休憩した。小屋のロゴがいい感じだったのでTシャツを買った。

 

このあたりは仙丈ヶ岳がよく見える。雲に隠れがちだったが甲斐駒ヶ岳も見えて気分が良かった。

草すべりはそこそこ急だったが、総じて八本歯のコル経由の道のほうが急で荒れててしんどかったと感じる。草すべりを歩かずやや緩やかに登れる道もあるので、登る人にはどっちにしても肩の小屋経由の道をおすすめしたい。

 

白根御池小屋についたのは13時前。帰りのバスは14時か16時40分だったので、ここで14時のバスを諦め長めの休憩を取った。

 

昼飯は何故か売ってた台湾スイーツ豆花を食べた。巨峰とレモンとはちみつ味、美味しかった!

段々曇ってきたが、ここでぼーっとできてよかった。名残惜しさもありつつ、帰りのバスには意地でも座るぞと覚悟を決めて13時40分に下山開始。

下りはそこそこ急、よく登ってきたなと思う。人はたくさんいたので安心感があった。なんならこの時間から登ってくる人もいた。白根御池小屋に泊まるんだろうか?意外と遅出である。

 

15時20分くらいに広河原へ到着した。お疲れ様でした。

バス並んでるかと思ったが全然並んでなかった。なんなら2両できたから、絶対みんな座れる体制だった。もっとゆっくりできたなーと思ったが、到着直後に雨が降ってきたので早めに降りて助かった。

バスが来るまでは外のベンチで片付け、ストック洗い、新しくなった広河原山荘物色などしていたら16:30くらいになっていた。

 

帰りはバスで甲府まで一直線。山道は大変険しく、改めてバスに感謝した。

甲府駅ほうとうを食べるつもりだったが、甲府市街混雑のため到着が遅れタイムオーバー。急いで吉野家で飯を食べ、お土産を買って帰りはあずさで塩尻→名古屋と特急で帰った。

あずさが遅延して塩尻への乗り換えがギリギリになった。JR許すまじ。そして最後の特急しなのは相変わらずひどい。今日は暑いし。本当に嫌い。

11時すぎ、帰宅してやっと風呂に入れて一息ついた。

 

翌朝、写真を現像するため色々試行錯誤していた。

ソニーの無料画像編集アプリはまあまあよいが細かい加工ができない点が非常に不満。まあ仕方ないが。軽い割に総じて写真はよく撮れており、α6400買ってよかったなと思った。

 

4.所感

 南アルプス仙丈ヶ岳鳳凰三山と登ったが、主脈の白峰三山に登るのはこれが初めて。ようやく南アの核心に踏み込めたと感じる。

道は険しい箇所も多く、何より登りは1,750mと日当たり獲得標高(+)としては過去最高だった。そんな山でも何だかんだ歩き通した妻に驚きと感謝しかない。

間ノ岳から初めて見る南アの深淵部は、非常にスケールが大きく胸が踊った。巨大な山をよく見ると尾根が繋いでいる。次はこれを歩いてみたいなと思って下山した。

日本で二番目に高い場所にこれたという気持ちも新鮮だった。富士山も登ったら1〜3番目制覇となるので、また来年チャレンジしてみたい。

あと前のオリンパスペンがいよいよ壊れたので新たに買ったソニーα6400。前のより軽くて性能高いから言うことない。でもレンズ追加しないと撮れないものもあるから迷うな。写真好きな人に勉強させてもらおう。