2021-08 山に行けない/白骨街道/Get Wild/冬至草/羊文学/孤狼の血/寝ても覚めても劇場/小早川秋聲と旅と銭湯サウナ/FUNTIME ACCIDENT
1.山に行けない
表銀座縦走以降、8月~9月今日に至るまで色んな予定があった。しかし8月はひたすらに天気が悪い...。
この間に、立山(大日岳、奥大日岳)、氷ノ山、北八ヶ岳という念願だった山の予定がつぶれてしまった。
特に氷ノ山は「登山口まで行って撤退」という今までにないケース。悔しい…。
白山はギリギリ行けた。初日は途中までガスガスだったが最後に晴れて昨年のリベンジが出来た。
ただ2日目は嵐の中の撤退戦。もうこりごりだ。
唯一晴れた8月最後の週末は赤目四十八滝と武奈ヶ岳に行った。気持ちいい滝、山。良かった。
行けなかった悲しみを埋めるようにこの間観たり読んだりしたものを取り留めなく記録する。
2.機龍警察 白骨街道
忘れた頃に次が出る機龍警察。新刊出る度に速度が上がっていく。
ミャンマー問題に真っ向から切り込んだ時代感。前作とは打って変わってバチバチの戦闘に血塗られた白骨街道は恐怖だ。
陰謀も密度を増していく。やっと敵の影を見ることが出来たわけだが、あまりに恐ろしい…。
今一番面白いシリーズ、マルドゥックシリーズと機龍警察なのでおすすめです。
3.宝塚のシティハンターを見た
人生初宝塚。シティハンターの舞台と歌劇オンステージのワンセットで5500円4時間は破格では。めちゃくちゃ楽しかった。
驚くべきはその密度。舞台の情報量多いし人間関係中々複雑だし転換も相まってテンポが爆速、その中でも歌と演技と小ネタをふんだんに盛り込んだ舞台で衝撃だった。
シティハンターは金曜ロードショーのルパンな感じで大団円。楽しかった。
歌のところもライブ以上の怒涛の勢いで歌と踊りが展開されていく。一糸乱れぬ動きは圧巻。
このあとかげきしょうじょ!見たら解像度がめっちゃ上がった。
4.石黒達昌の冬至草/雪女
タイムラインのリコメンドがすごかったから買った。日本SFの臨界点。
淡々とした文章が架空の動植物や病を手触りのある形で現出させる、初めての体験だった。
冬至草は過去のレポートやヒアリングのまとめという形で、放射線を放ち人の生命を吸う植物を、論文のように描く。
凪のような文章から溢れる狂気はなんだろう。すごいものを見た。
一番ショックだったのは「或る一日」。初年兵哀歌の風景がダブった。放射線被ばくの後だから、また違うけど。目の前に広がるどうしようもない光景、読む地獄だった。白骨街道も地獄だったがこれはまた違う地獄だ。
5.羊文学_Hidden Place
八ヶ岳が中止になった金曜日、なんと梅田で羊文学がライブをやるという。しかも当日券あり。
昼にチケットを確保し、午後丸々大東洋で蒸されてからライブハウスに向かった。
クラブクワトロ入るの初めてだな。
新アルバム出たけど、これは延期してたPowersのツアーらしい。
夜寝るときに聴くことも多い羊文学、ライブはほっそい女の子がパワフルに弾き語る強いステージだった。
雨とかバチバチにかっこよい。
1999のときには電球の暖色がステージを包み一足先にクリスマスの夜になってしまった。一段と好きになった。
前聴いたのは4月の対バンのやつだったか。雨のパレードとかいたやつ。
あれよりも世界が際立つ感じで良い時間でした。
6.孤狼の血Level2
翌日は孤狼の血を観にブルク7へ行った。
孤狼の血が好きな映画何番目かに入るので、ワクワクしながら鑑賞。
開幕早々訪れる獄卒、上林(鈴木亮平)。2シーン目から平和な広島が血みどろにされちゃって見てられんかった。予想を軽々と上回る暴力、また地獄に来てしまった。
日岡(松坂桃李、ダークヒーロー)はガミさん(役所広司、最初のダークヒーロー)の後を継いで3年間広島の暴力団を仕切ってきた。
その版図が、上林の登場でアッという間に、本当に一瞬で塗り替えられていく様は恐ろしい。
それを圧倒的な暴力で僕らに飲み込ませにくる鈴木亮平、まーじ怖い。目潰しとかアイスピック一閃とか二代目への仕打ちとかヤバいやん。この映画の7割は上林の暴力で占められてます。
残り2割は頑張ったけどガミさんみたいにはいかなくて、それでも頑張る日岡。最後はチンタ。もっと生き方があったよなぁ。悲しい。
斎藤工と早乙女太一いい感じだったけど見せ場なくて笑った。斎藤工なんか強キャラ感あったのに。
孤狼の血はガミさんの結末とそこからの日岡の覚醒から目が離せなくて最後まで面白いのだが、それと比べるとLevel2はオチが弱かったか。風呂敷かなり広げたけど…という感じ。
帰りにその足で小説2作目、凶犬の眼を買った。映画のラスト、ここに繋がる感じだから続編をきっと作ってくれるのだろう。
小説どんなもんかなと思ったら面白すぎて日曜に読み終わってしまった。
凶犬の眼、今度は国光というインテリ武闘派ヤクザの生き様が鮮やかすぎてまた日岡が霞んでしまった。映画にしたら国光の話になっちゃうね。
龍が如くゼロが大好きなのだが、小説でこの感情を再度体験できようとは思わなかった。今三作目の暴虎の牙をポチったので届くのを待ってます。
7.映画 劇場をみた
職場の人に勧められたので観たが中々キッツかったな。
山崎賢人演じる永田のクズさをどう捉えるかで全然印象が変わるだろう。永田を見て「あり得へんやろ」と思って見続けるとキツイ(自分はそうなってしまった)
しかし永田の要素は、自分にも跳ね返ってくるよな…という気持ち。
終盤で永田のことを友人(コイツも結構悪いやつなのでは?)は端的に表していたが、これもキツい。時折永田自身、自己嫌悪しつつそんな自分を正当化するような語りをしていた。
これを分かってやってるんだから中々キツイ映画だ。そしてさきちゃん。これもありえんやろという勢いの聖人だった故に、後半がまたキツイ。
永田、なんでそれをもっと早く言えなかった。なんでそんなことしちゃうんだ。なんでもっと上手く生きられないんだ。
でもこれって自分はどうなんだろう、と思った瞬間色んなものが跳ね返ってきた。
決定的にしたのは、クライマックス。この転換が最後にざっくり刺さってなんかすごい映画だったと思わされる位だ。
寝ても覚めてものバクくんor唐田えりかと永田を戦わせて欲しいが、多分色々無自覚な寝ても覚めても勢が勝っちゃうな。
8.小早川秋聲を見に行った
日曜、一緒に八ヶ岳行くはずだった友人と京都をぶらついた。
カフェで昼飯→藤井大丸で買い物→小早川秋聲展→カフェでケーキ。見事なデートコース。但し友人は男だ。
小早川秋聲展を見た。
「國之楯」をNHKかなんかで見た時から、ずっと気になっていた。横たわる兵士の亡骸、顔にかけられた国旗が、一兵士の死を、戦争による全ての死に、敗戦した日本の死に敷衍する様な絵。一度見たいと思っていた。
行ってみると、その印象はかなり変わった。
驚いたのは小早川秋聲の絵のバリエーションの広さ、培ってきた世界の深さだ。
日本そして世界を旅して描いた絵には、様々な景色が時にシンプルに、時に精緻に描かれていた。
印象的なのは夕焼け、夜の絵。深い黒に小さな灯りが灯る上海なんかはとても美しかった。
人物の絵にもこの絵の振れ幅がすごく強く表れている印象。女の人の絵があったが、衣服のすけ、薄っすら描かれたレースの密度、何より憂いを帯びた表情が美しい。という絵もあった。この引き出しの広さと見ている世界の美しさや迫力に驚いた。
そして小早川秋聲は戦争画でも評価されていく。國ノ楯も、受取拒否されただけで元は戦争をある種応援する視点で描かれていたものだというのには驚いた。(残酷な戦争に対し、せめて応援したい、という心持ちだったと説明されていた)
國ノ楯にはよく見ると、黒く塗りつぶされた花弁と黒のアークがある。
元はぼうと光を帯びた亡骸に桜の花が降り積もる絵だったというのだ。
それが受取拒否により、本人の手中に秘匿され、後年の加筆を経て今日の形となったそうだ。
歴史の偶然が生み出した現在の國ノ楯、作者の心境と違う物語を想像していたのは結構驚きだった。
どう思うかは受け手によって変わる、それをとても面白く感じた展覧会だった。
帰りに梅湯に行った。水風呂は最高。広さは普通の銭湯という感じなので、評価はそんなに上がらないかも。
でも帰りに涼しくなり始めた京都の川沿いを、自販機で買ったビール片手にふらふら歩くのは実に気分が良くてトータルでいいサウナだった。
9.UNISON SQUARE GARDEN_FUNTIME ACCIDENT3
月曜、終わらない仕事を見ないようにしてなんばHatchへ向かった。
着いたら最初のバンドが終わっていた。悲しい。
2人目は誰か、と思うと崎山蒼志だった。
予習していたAppleMusicの上位曲が全然ピンとこなかったのでどうかな…と思ったら、めちゃくちゃカッコイイギターが始まってそういうの全部忘れた。
バンド編成になってもキレッキレのギターは止まらない。カッコ良すぎた。これで19歳。末恐ろしい。
帰ってアルバムfind fuse in youth聴いたらカッコイイ要素てんこ盛りで良かった。
ユニゾンはCiderRoadリバイバルぶりだから中3週間いかんくらいの再開。スパン短い。
一曲めからエイリアスエイリアンきて???となり、そこからジェットコースターのように引きずり回されてたら1時間終わった。殺意高めのセトリだった。最高。
静謐甘美とかmix juiceのいうとおりとかサイレンスインザスパイとか、それくる?みたいな曲が限られたセトリに詰め込まれていて良かった。
シュガーソング、心が参ってる時に聴くと刺さる。ユニゾンに支えられていることを実感した。
山に行けなかったけど色々詰め込んだので結果オーライでした。
でも流石に来週は行きたい。晴れてくれ。頼む。なむなむ。