2019-04-28~29 唐松岳

前回の更新から随分日が経ってしまったが、山に登り続けている。(主にfacebookに記録中)

八甲田山雪中行軍を皮切りに、雪山にも登り始めた。そしてこのゴールデンウイーク、平成最後の登山として念願の唐松岳に登頂することが出来た。

 

1.GWに入るまで

今年のGWはそもそも「屋久島」に行こうと画策していた。しかし航空券があまりに高額で断念。行先に迷ったところで大学時代の友人より福井富山裏日本探検旅行に誘われたため、今年の連休は日本海で過ごすこととした。

集合は4/30の午後、福井駅

 

この日までどう過ごそうか…その時、棚に挟まっていた「五竜岳唐松岳鹿島槍ヶ岳」の地図が目に留まった。

昨年秋に行こうとしたが叶わなかった北アルプス。思い立って調べると、なんと唐松岳頂上山荘が営業開始している。予約は不要、コースも”比較的”容易、何より4/28は連休前半唯一の晴れ。

昨年の雪辱を晴らすべく、GW初日に12本爪アイゼンとピッケルを購入*1。山道具とキャンプ道具、5/3までの旅行道具を車に詰め込み、4/28の朝3時、私は白馬村へ向けて出発した。

 

2.4/28山頂小屋到着まで

運転する事3時間半。朝6時半、白馬の八方尾根ロープウェイ麓に到着。駐車場(2日で1,200円)に車を停め、ロープウェイ購入列に並ぶ。駐車場は既に満車も多く、スキー板を持った人があちこち歩いている。

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 ロープウェイチケット売り場。7時からの販売開始まで並ぶ。この後も続々と人が来て大賑わい。

 

無事ロープウェイ・リフト往復券を購入、7時半より一路「八方尾根」へ向かう。

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スキー等しないため人生初リフト 運搬される荷物の気分

 

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スキーヤー多かった。今シーズン最後のスキーを謳歌していることだろう。

 

ロープウェイ、リフトを3つ乗り継ぎ、八方尾根へ到着。早速アイゼンを装着し、登り始める。

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最初はいきなりガレ場。人はかなり多い。

雪面を登るのは骨の折れる。何よりいきなり暑い。服を脱いで調節しながら登っていく。(結局、冬山衣類の正解が分からないまま終わってしまった。誰かレイヤリング教えてほしい。)

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五竜岳鹿島槍、白馬岳を横目に登っていく。雪と岩の殿堂。まだらの山肌は大迫力。

途中、何か所か急な登りに直面。前の人のトレースを辿り、アイゼンの効きを確かめながら登る。

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見た目よりもきつい。後ろには妙高戸隠連山が並ぶ。前はあの上に居たんだな、としみじみ。

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遠く富士山まで見晴らせる。虹の様なものは太陽アーク。ずっと見えていた。

 

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山頂付近、核心部。

この直前に細い稜線を通った。そこにピッケルを突き刺し、レシーバーで何やら話す人が。山小屋関係の人か?と思って下を見ると、なんとおじさんが横たわっている。滑落したんだ。急に血の気が引く。

岳で見たまんまの様子。口をぽかんと開けて、意識は無さそう。レスキューの人が上に跨りレシーバーでテキパキ指示しているが、反応する様子は無い。

その場を離れ慎重に歩を進める。すると遠くからゴゴゴゴ…と音が響いた。立ちすくむ。雪崩だ。目の前にいたお兄さんと目が合った。「怖いの2連発でしたね」笑うしかない。

先達の歩みを頼りに、細い足場を渡っていく。

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最後のトラバースを抜けると、開けた場所に着いた。眼下に小屋が見える。ついた。胸をなでおろした。

開けた場所にもレスキューの方がおり、連絡している。この開けた場所はヘリポートになるらしい。速やかに退去するようアナウンスあり、小屋に移動した。

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小屋を見下ろす。剣岳を始めとする立山連峰がお出迎え。ここまで来た実感が湧いてきた。

 

3.4/28山小屋到着後~就寝まで

到着は11時過ぎだった気がする。

小屋の予約を試みるが、受付13時からだったため、引き続き山頂へ向かう。

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唐松岳全景。非常にかっこいい。この稜線を歩く。
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登っているとヘリコプターが飛来。先ほどのおじさんを救助するため、何度もアプローチしていた。

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登頂。北アルプス雄大さを一身に感じることのできるベストロケーション。

行動食を食べながらしばらくぼーっとして、小屋へと戻る。

小屋の前でカレーチーズヌードルを食べて1時受付開始を待つ。山で食べるカップヌードルカレー味はスペシャルに美味しい。

 

1時受付。無事寝床を確保。随分悩んだが2,200円追加して晩飯も食べることとした。しばらくは昼寝したりkindleメイドインアビス武田綾乃「朱音は空を飛んだ」を読んで過ごす。

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我慢できずアサヒスーパードライ(600円)を山の上で飲んだ。こんなにうまいビールはない。

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17時より晩御飯。カレー(食べ放題!)とお惣菜、コーンスープに暖かいお茶。

どれも大変美味しく、課金した甲斐があった。山の上でこんな贅沢ができるのは幸せである。

横の人たちと話しながら夕食の時間を終える。

 

戻ってスマホをいじっていると、「北アルプスで4人死亡」のニュースを見た。

4人目として、唐松岳で発見された57歳公務員の方の情報が載っていた。4/27には滑落しており、発見されたときには既に事切れていたそうだ。

 

前日は全国的に天気が悪く、ここ唐松岳も同様。細い稜線を歩き、暴風そして視界も狭い中で滑落。ヘルメットもしており装備は平均以上のものを備えていたと見受けられる。しかし助けを呼ぶ事も出来ず、あの崖で命を落としてしまった、のだろう。

 

唐松岳は、雪山シーズンでもロープウェイがあり比較的容易に登ることのできる山という認識だった。そんな山でも、悪い要素が重なれば一瞬で命を落とす。

このおじさんも、天候を見て撤退すべきだったのだ。山頂が近いから、無理をしたのかもしれない。しかし道中で山頂直前が最も危険だった。焦り、油断、色んな感情があったのだろう。最期に何を思ったのか。推し量ることはできない。

 

この日目にした「死」の近さに心底ビビっていた。

 常にリスクがあることを念頭に、それを踏み抜かないために自分に出来る事を考え、行動しなければならない。

こと雪山はまだ4回目。まともな講習を受けていない中、ここまで来てしまった。無事に帰ってこれて良かった、では済まない。まだまだ甘かった。(八甲田山那須岳安達太良山と楽しい雪山山行をやってきたが、これだけで安全に繋がる訳ではない)*2

また、ケガに対しても同じレベル感で臨む必要がある。昨年谷川岳で足を思い切り挫いたり、しばらく治らなかった膝の痛み、アイゼン付けたての頃は左太もも付け根の痛みに襲われたりと、常にケガと隣り合わせの状況でここまで来ている。*3

金で解決できるものは解決する、足りない部分はフィジカルと正しい行動でリスクを低減する。これからも登山を続けるためにも、課題は山積みだ。

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日が沈んできた。唐松岳と交差する。

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一瞬で夕焼けになる。

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赤らむ五竜岳

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夕日を背にする剣岳立山連峰

今日が終わる。生きていて良かった、心底思った。

 

寝床は6人川の字、ウナギの寝床。途切れ途切れだが一応寝ることが出来た。

 

4.4/29下山

朝4時、周りがごそごそし始めたので一緒に起床。ヘリポートとなった高台にて日の出を待つ。

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日の出直前の時間が一番好きだ。

筑波山の夜明け前も良かったので共有しておく。 

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おはよう白馬

くそ寒い中おしるこ作って待っていると、続々と人が上がってきた。

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そして日の出。おはよう日本

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朝日に照らされる白馬連峰全景。左から唐松岳→不帰ノ嶮→天狗の頭→白馬鑓→白馬岳 ひたすら美しい光景。

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剣岳の方も朝焼けていた。

日の出を楽しんだ後、部屋に戻って行動食をむさぼり、6時位に山小屋出発。八方尾根を下りリフト乗り場を目指す。

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夜明け前から「グエエグエエ」と鳴き声が聞こえており、こんな冬の山頂にヒキガエルでもいるのか?と思っていたら、なんとライチョウの鳴き声だった。

 

早朝のヘリポート付近で遭遇。本当に会うことが出来ると思っていなかったので、非常にうれしかった。

白馬岳を背に立つライチョウ。冬毛は確かに雪と岩の山肌に紛れる。

人が近づいても悠々と歩いており、逃げる気配はない。人の近くはむしろ安全だと知っている様だ。

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写真に撮られなれているイケメン。飛び立つまで見届けて下山開始。

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テラテラと光る雪山を、太陽に向かって歩く。

昨日よりトレースが激増しており、往く人の多さを実感。昨日人が死んだ山とは思えないのどかな世界。

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道中の違法テント。寒くないんかね。

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帰りの方がカッコ良い白馬岳方面。

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妙高の方に向けて歩く。空中を歩いている様。

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手前が五竜岳、奥が鹿島槍ヶ岳。さようなら北アルプス

 

8時頃、リフト乗り場に到着。30分待機した後、運行開始とともに下山する。

 

この日もたくさんのスキー客で賑わっていた。また、すれ違うリフトに大勢の登山客を見つけた。

 

この日の午後は、天気は下り坂で再び危険な状況になるとのことだった。すれ違う人々が、来た時のまま帰る事が出来るよう精一杯願いながら、帰り路についた。

 

5.総括

平成最後の登山となった唐松岳、登山の楽しさと怖さを最大限に感じる山だった。

今シーズン雪山は最後になるが、来シーズンも登り続けるために更にレベルアップしていたい。切にそう思う。令和も頑張っていきます。

*1:これまでの雪山登山は、わかんや後輩から借りたアイゼン等で対応していたが、今回ばかりは購入することとした

*2:今年の冬~来年は雪山講習に行こう。今年も行こうとしたのだが、安価なものは予約が取れず諦めてしまった。

*3:膝は下りの歩き方を意識し直した事で最近マシになったが、太ももの痛みは初めて。ヘルプミー