登山記録

登山の記録です

2021-07-10 ポンポさんとしたいtofubeats(とcero)

また山じゃない話。

 

先日コロナのワクチン#1を打った。

当日は腕痛い位だったが、翌日朝起きると倦怠感と微熱。予め買っておいた解熱剤を飲んだら楽になったので、通常通り業務していたら10時半位から効き目が切れてきて、みるみるうちに発熱倦怠感が襲い掛かる。マジでコロナの症状じゃん。トラウマ掘り起こさないでくれ。

昼休み丸々寝て解熱剤飲んだら回復したので業務を継続したが、4時~5時位には元通り。

早々に業務を切り上げて寝た。普通にコロナの症状だわ。

翌日はやや倦怠感。元々休みを取っていたのでほぼ寝て過ごした。解熱剤飲んだら症状消えたので、これも副反応か。

3日目には消えた。一安心。2回目接種も不安だな。そんな中で結構活動した7月10日の記録である。

 

1.AM ポンポさん2回目と平尾監督、松尾Pのトークショーに行く

朝起きてネットを見ていたら、梅田TOHOでトークショー開催と見る。

出町座は埋まっていると見たから、梅田もダメかなと思っていたら意外と余っていたので、飛び起きて予約し急いで梅田に向かった。

ポンポさん1回目は原作とのギャップに意識が行きがちだったので、今回はある意味別種の作品と思いながら鑑賞した。*1

 

2回目の方が面白かった。作中の追加要素が全部必要なものだと理解出来た。ジーンときた。1回目で理解できていなかったことがあったと分かった。それは、この作品の”アリア”だ。

劇場版の追加シーンは、マイスタークランクアップ後のジーンくん編集シーンに集中している。このくだりにより、原作と映画版でジーンくんの人物像が決定的に変わってしまった訳だが、初回に私はその理由が何かをあまり掴めていなかった。

 

今回、映画”マイスター”の追加シーンにジーンくんが思い至るところがとても印象に残った。指揮者マーティンとジーンくんが重なる。たった一つの光るものを得るために”切り捨ててきたもの(=アリア)”に思い至る。それがかけがえのないものだったと確信する。

映画版で最も描きたかったのは、これだったのかな。そう感じた瞬間、後からの追加シーンがぴったりはまることに気づいた。特に一番印象が変わったのは、マイスターの映像、演奏を聴いた観客たちの”回想”そして映画を見たポンポさんの”回想”が輝きに繋がった瞬間。マイスターのアリアが聴いた人のかけがえのない記憶を想起させるように、ポンポさんは創作のため、叶えたいことのために(意図的、無意識関わらず)何かを犠牲に、擦り減らしてきた人たちを強く肯定してくれるんだなと。スッとした。

映画のジーンくんは、自分のルーツと向き合っている。その重要性に思い至った。そして行動を起こした。丸々原作になかった部分である。その結果原作と違い、どっちかというと目に光があったことを思い出すタイプの人物になった訳だが、その変化も当然の帰結なのだ。

あと、ド頭のシーンが銀行のプレゼンだったことも良かったな。全部繋がってるじゃん。オープニングの狙いが後で監督の口から解説されたのも含めて、考え抜かれた構成であることを実感した。

そしてアニメーションの作り、どのシーン切り取っても一級品、最高峰のアニメーションだ。みんな生き生きしている。指揮、サーフィン、泥合戦、食事一つとっても全部カンペキだね。本当にすごいわ。

上映後は30分の平尾監督、松尾Pのトークショー。原作との関わりを中心にお話しされていた。監督が「マイノリティを肯定する、夢を追う人の背中を押す映画」と言っていて繋がった。90分のこだわりについても多く言及されていたね。キメたのはめちゃくちゃ痺れた。(しかしテーマが”アリア”の方にあるから、90分である事が若干弱まった気がしないでもない。)仮アフレコの話もおもろかったね。大塚さん…。見に来て正解だった。

 

2.PM CHOICE37~TOFUBEATScero

映画を見たあとライブに行った。コロナコロナ言ってるのに...と思う人もいるだろう。一応横と一席空いてるし、喋るでもないし、野外だし大丈夫(と思う)

会場はなんとウチから15分。異常に近い。野外ライブ会場でマスク有だがなんと会場でビール売ってる。既に最高。ステージ異常に近い。来た時点で最高。

最初はcero。正直名前見た事しかなかったんだけど、すげー良かった。ボーカルの声、若干こいちゃんっぽいなと思った。

雰囲気フュージョンっぽい?総勢8名(実は3ピースらしく、5人はサポートと分かった)で贅沢な時間を過ごした。Summer soul聴きながらビール飲んで揺れてるの楽し過ぎ。

お次tofubeats。ライブセット、恵比寿でやってたPOSITIVEリリースパーティ以来では????(2015年11月って、もう6年も前なのか。衝撃。)

久々に爆音鳴ってる中で酒飲んで揺れてるだけで楽しいのに、めっちゃ楽しそうに歌ったり歌ってなかったりしててニコニコしていた。全楽曲で1番好きかもしれないNo.1を歌い始めたときは嬉しすぎてさらにニコニコだった。city to city からNEWTOWNの流れは美しかったな。街を主題に何か試みようとしているのかなtofubeats

本当に楽しい時間だった。やっぱりライブの良さは何にも代えがたい。 あと、会場にお子様めっちゃ多かった。後ろの座席走り回ったりクラップしたり親に揺られてニコニコしたり、挙句疲れて寝てた。なんか良かった。日常と音楽が同居してる感じ。

 

帰りはマルショウでお腹いっぱい食べた。かけがえのないものに沢山気付けた一日でした。

*1:初見の感想は以下の感じ。切り口を変えてみることは大事と痛感した。

まず、漫画3巻(特に2巻)を通じて、ジーンくんは最高の映画を作ること以外に悩んだり葛藤したりしない、人間らしい感情の送受信機がブッ壊れたクレイジー監督で、ポンポさんは映画大好き全知全能プロデューサーと刷り込まれていた。 だから、編集シーンで自身の過去や境遇とマイスターを重ねるとか、世界一幸福な編集の時間に消す事ためらってナタリーに支えられるとか、ポンポさんが追加シーン撮影で現実的なこと言ったり資金繰りであたふたするとか有り得ないと思ってしまった訳だ。 (二巻でポンポさんが説教するとこあったが、逆にポンポさんとジーンのぶっ飛び方がよく分かるシーンだった) 映画としては、全て夢に向かう人、働く人を承認して背中を押してくれる眩しい映画だった。その為の持ってき方はとっても良かった。 作品中も、撮影スタッフは前向きで、銀行の人達も最終的には理解してくれた。良かった。 映像としても文句なかった。キャラみんなかわいい最高。 自分がミット構えてた位置と違う所に珠が飛んできたのが厄介だったから漫画読んだ記憶消して観たい。 そして世間的にもちゃんとヒットして欲しい。その金でポンポさん2を作ってほしい。 その時にはきっと、ジーンくんの見た光を僕らも見ることができるだろう。

2021-05-15~16 涸沢で遠くの友達と酒を飲む会

1.その前
実は4月下旬にコロナにかかった。
思い返すと、最初は妙な疲労感から始まった。
咳もなく熱もない。ただ、毎日朝起きたら夜中まで残業した後位の疲れが既にある感じ。
寝不足かな?と思いよく寝る生活を続けていたが、いよいよ熱が出た時は「まさか自分がなるかね…?!」という気持ちになった。
その日の内に病院に行った結果、コロナ陽性。そこからは自宅療養で、本当に寝てポカリを飲んで食って寝るだけの生活になった。
症状としては微熱と並ではない疲労感、倦怠感。あと下痢。
咳とか味覚障害とかは出なかった。食欲も普通にあったのは良かった。発熱4日程度で症状も上向いてきて、軽症で済んだかなと一安心。
そのまま在宅短時間勤務しながらGWに入り、この4月は終わった。

大変だったが、周りに感染者は出なくて心底安心した。一方で感染経路は不明。
コロナはただの風邪とか色々言う人いるけど、一回罹ったらそんなこと言えなくなる。もう勘弁。
あと保健所の人は毎日電話で状況確認してくれた上支援物資も送ってくれて、本当に感謝。世界は誰かの仕事で成り立っている事を実感した。

こんな事もあり山から遠ざかっていたが、5月に栃木時代の同期後輩と現地(涸沢)集合で北アルプスに行ったのだった。

2.前日~初日
大阪から久しぶりのさわやか信州号。去年の夏にバス乗り過ごしという大事故をやらかしたので、今回は出発15分前位から待機して夜行バスに乗り込んだ。
このGWのコンディションが非常に悪かったせいか、バスには私入れて3人くらい。
週末も雨予報あり不安だったが、ともかく向かうこととした。

朝5時、上高地到着。かっぱ橋まで向かうとそこには雪のアルプス!奇跡的に晴れていた。
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いつまで晴れ間がもつか分からなかったので、そそくさと涸沢に向かう。
まず横尾まで。雪はなかった。
途中派手に崩落していて道がふさがっていたので、雪道の赤布を頼りに迂回した。自然恐ろしい。
人がいないせいか今までで一番サルが多かった。
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絡まれたら負ける。

横尾で一服して先を急ぐ。ここのデッカイ岩壁はいつ見ても圧倒される。
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いつもは気にならない山も、雪の壁のようで存在感があった。
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川を渡ったところからいよいよ登り。雪が付き始めたのでアイゼンを履く。
ここから先はやっぱきつい。雪が緩く歩き辛い。傾斜が急なポイントもあり、頑張って歩いた。
夏場ガレてるトラバースのところは冬も落石がちらほらあったのでやはり危ない。
進んでいくとカールが見えてきた。まだ晴れている。テンションが上がる。
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しかしここからが一番キツかった。ゴールが見えているが全然近づかない。雪のせいだろうか。遠近感が狂う。
ヒュッテと小屋の分岐まで来た時には息も絶え絶え。若干近いヒュッテ側へ向かう。
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途中トレースがよく分からんくなって、最後は無理やりヒュッテ最下部に辿り着いた。
涸沢カールと対面。雪と岩の殿堂…!涸沢カールの景色、今までで一番晴れてた。
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三度目の正直とは言ったものだ。今回の山行の目的の6割は達した。
この後残り2割を消化していく。

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そう、イスとホットサンドメーカーだ。
連れがテント泊するというから、近くで遊べるようにヘリノックス チェアワンを購入した私。
しかし皆小屋泊に切り替えたので、無用の長物となってしまったのだった。
ややデカくて全然山向きじゃないが、その分しっかりしていて快適。
イスを雪にぶっさして買ってきたサンドイッチをホットサンドにする。
ふるさと納税でゲットしたMy New Gear…須磨アルプスで試したときは火力強すぎて黒コゲにしちゃったので、今回は弱火でじっくり焼いた。
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完成。いいんじゃない!??
冷たくて味気ないサンドイッチも、ひと手間加えるだけでエースキャラになった。美味しい!
次はチーズ蒸しパンを焼く。こうする事でインスタントホットケーキになるのである。
あとから甘みがきてよい。欲を言えばメープルシロップが欲しい。
ほぼキャンプ気分を味わいながら、涸沢を眺めてのんびりした。
見るとテント場の間近まで雪崩が迫ってきてる。
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ロープで区切られているから変に入り込む心配はないが、ヒュッテに迫る勢いなのはビックリした。
雪の壁を見てると、ザイテングラート沿いに黒い点が見える。人だ。よちよちと降りてきている。
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かなりキツそうだ。これ登れるんやろかと思っていると、テント泊してるおじさんが話しかけてきた。
どうやら上まで登って降りてきた後らしい。雪が柔らかくてほぼツボ足、非常に疲れたということを言っていたので、この時点で今日登るのは無いなという気持ちになった。
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ひとしきり遊んで、涸沢小屋へ撤収。涸沢小屋への登りがなーんかキツイ。勘弁してくれ。

まだ青空が見えていたので、アイゼン乾かしがてらテラスで空を見ながらぼーっとしていた。
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この時日焼け止めもつけずサングラスだけの状態で顔面を強烈な日光にさらし続けた結果、見事にタヌキ男となってしまうことを、俺はまだ知らなかったのだった。

涸沢到着2時間後の2時位、連れの2人が到着。栃木と大阪、約1年ぶりの再会。
早速祝杯を挙げて昼飯を食べる。マムートのビールが最高に美味しい。やる事の9割は達成した。
みんなカレーを作ったり肉みそを持ってきたりと山ご飯レベルが上がっている。俺はホットサンドメーカーでソーセージとベーコンを焼いた。
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食後一回部屋に引き上げてグタグタしていた。正直今日は終わりかなと思っていたが、散歩しようという事になり3時前に小屋を出た。

明日晴れたら北穂に行く計画だった。ただしルート不明瞭という事で、コース確認のため南陵方面を途中まで登ることにした。
道中派手に雪崩た跡。この時点で割と気持ちが萎えていたな。
経験豊富な後輩がステップを作ってくれるのでついていく。雪が緩くて歩き辛い。ズボズボだ。
途中雪崩の跡をトラバースしたり、雪解け水の川の音がする上を歩いたりと正直ヒヤヒヤだった。
それでも案外行けてしまうもので、このまま頑張れば北穂の稜線辺りに出られるんじゃない?という感じになった。
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横から見る涸沢カール。かっこいい。
この時出発から40分経過。確かに5時に小屋に戻るくらいで行けそうな気もした...が、天候も下山時の状況も読めなかったため、撤退することにした。
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小屋に着くと、なんなら6時くらいまで結構明るく晴れており、めちゃくちゃ拍子抜けした。行っとけばよかったな。
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またビールを飲んで晩飯を食べる。日本酒の小瓶を湯煎する俺、アル中感があって笑った。
割と変わらぬ会話をしていたせいか内容をあまり覚えていない。気のおけない友達ってそんな感じよね。楽しかった。

翌日、4時に起きて撤退するか登るか決める事とし就寝。

3.2日目
起床。霧雨の降る涸沢。朝飯を食べつつ様子を見る。
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朝はフルグラ×スキムミルク
雲ノ平で使ったこの朝飯、中々しっくりきているが腹持ちにやや難ありか。ここでガスが切れて焦った。ホットサンドメーカーのガス消費多すぎるな。
食べ進めるとともに雨は強くなる。こりゃダメだと一路撤退する。
涸沢初めてのメンツは後ろ髪を引かれていたが、またチャンスはある。
帰りはワカン履いた。途中までは良かったが、細い樹林帯の道で色んな所に引っかかって全然だめだった。もう使わん。
川を渡って後はだらだらと上高地まで戻る。
行きで土砂崩れにより埋まっていた登山道が帰りにはほぼ元通りになっておりビックリした。人間本当にすごいな⁉コロナに続き、誰かの仕事に自分が生かされている事を実感した。

途中雨は強まるばかり。俺のマウンテンパーカー、手袋、足の雨がっぱは雨に濡れてぐっしょりで全然だめだった。
動いてると熱くなるから大事には至らなかったが、これじゃあ意味がない…。
途中徳沢でアフォガード的なものを食べる。最高だったがめっちゃ体冷えて判断ミスった。
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そして上高地に到着。お疲れさまでした。ぐっしょり濡れた雨具をゴミ袋に詰め込んで綺麗な服に着替える。生まれ変わったようだ…。
この時10時位?バス乗るにも早すぎたので平湯へ向かう。温泉、温泉。

愕然とした。なんとバスターミナルの温泉が閉鎖。何のために来たのか…。
がっかりしていると、近くに温泉あるっぽいよという連れの声が。リュックをデポ(放置)して「平湯の湯」へ向かう。

徒歩5分程度のそこは、最高の温泉だった。こりゃバスターミナルの湯つぶれるわ。全然大丈夫だった。
豊富な露天を満喫。本当は昼飯まで食べたかったが、高山行きバスの時間を考えると11時半には撤退する必要があったため、連れとはここでお別れ。また会おう。

帰りは高山バスターミナル→高山駅→名古屋→新大阪で帰宅。雲ノ平の帰りと同じルート。見た景色。これから結構お世話になりそうだな。
高山駅で結構お高いそばを食べて帰宅。お疲れさまでした。

4.2021年 雪山の終わり
帰阪後、2週間くらい顔の皮がべろべろに剥けてひどいことになった。落ち着いてよかった。
晴れた涸沢の下で、山で会おうが実現した今回はとても楽しかった。
雨具は帰ってすぐに徹底防水加工した。これはこれでまた試したい。
雪はコンディションと人の入り具合で難易度が全然変わるなと実感した。まだまだ経験が足りないな…。

実はこの5月から登山サークルに入った。2回ほど参加したが、素晴らしい企画力と組織力で楽しい。いけないところに行けるのがとてもありがたい。
次は恵那山という事で楽しみにしている。天気よ、どうかもってくれ。

2021-06-26 舞台 夜は短し歩けよ乙女

今回は山じゃない話。

昨日、舞台版夜は短し歩けよ乙女を観た。
高校時代に読んだ結果、大学生と京都、そして黒髪の乙女への憧れを頭の根っこにインプットされてしまったこの小説。

その後素晴らしアニメ映画となり、今度は舞台化。
ヨーロッパ企画謹製ということで、脚本を「4つの季節を一夜の夢」に仕立て上げて映画化した手腕を知っていた私は、期待に胸を膨らませて大阪城公園に向かった。

結果、とっても楽しかった。この時勢によくぞここまで…。
良かったポイントを取り留めもなく羅列していく。

冒頭、映像との掛け合わせで先輩のひとり語りが始まる。
森見作品のこじらせ大学生は、神谷ボイスの似合うマシンガントークがピッタリな感じで一体どう見せてくのかなと思ったが、しゃべくりを入れつつ体の動きと声量で魅せる感じでスッと入ってきた。掴みの笑いが楽しい。
パンツ総番長と図書館警察が準メインキャラで終始出てきてたの楽しかった。
他にも演劇故か、色んなキャラが原作以上の役割を担っている感じ。パンフ読んだら、これでも多い方なのだと。この辺違和感なく良かった。

次は黒髪の乙女。乃木坂の久保史緒里さんという方らしい。
遠目だったがイメージ通り。天真爛漫恐れを知らない、夜の街を美味しいお酒とおともだちパンチで練り歩くのはとっても可愛く、素晴らしかった。
おもむろに始まるラップ。あれは一応音楽カウントされてたらしい。
スルスルセリフが入ってくる感覚は小気味よかった。
樋口さんはイケメン感あったね。
先輩は劇の1/3くらい半裸で笑った。
詭弁踊り、マージでやるやん。アニメの動き準拠?いやマネできんやろ。
結婚式の先輩と春画の人、最後まで出番あってこれは劇っぽいと思った。
電気ブラン本当に美味しそうで良かった。

そして満を持して登場する李白竹中直人
圧倒的な説得力。これポンポさんで見たやつだね。
超然的なキャラを説明なしに伝えるために竹中直人が出てくるの、すごい発明。
そうやって先斗町の夜は更けていく…。
先斗町という響きがいいね。ポン、と。乙女が跳ねる街にピッタリだ。

随所にアニメ風のくだりが現れる。ナカメ作戦とか。
次は夏。ちゃんと全部の季節やっちゃうんだ、という驚き。実質4舞台分よな。春でエンドロール出てきたの、めっちゃ笑った。

夏は神様が出張る。母親も出てきたおかげで、神様というか本に詳しいクソ生意気なガキという感じだった。
本は全部繋がってるところの小気味よさ。前ふりあってからの接続に感心。
鍋のオチは笑った。キャッツアイかよ。

秋、学園祭。一番ボリュームあったくだり。
パンツ総番長、八面六臂の活躍。図書館警察のこと知ってるとニヤニヤしてしまう。
ゾウのしり出てくるだけでおもろい。絵が強い。
劇中劇というのがかなり効いてた印象。乙女のプリンセスダルマは最高だったな。
あとずっと乙女が緋鯉背負ってるの。最高。かわいい。ここ一番好きポイントかも。
先輩は途中消えてたな。外堀埋めるマン。
みんなが走るシーンとか、ホントに場面遷移してる感じでワクワクした。終始この辺の見せ方が良かったね。歩く、走る、歩く。夜は短し歩けよ乙女に相応しい仕掛け。
最後に李白出てきたのはびっくりしちゃった。鉄道のヤツの夢が叶ってたのも含めて面白すぎ。
先輩キマってたね〜。

歌舞伎的な要素を印象的に使ってたな。
中村壱太郎がパンツ総番長の初恋の人演るところ、ビックリした。艶めかしいぞ!?
こういうメタ的なところは舞台特有の笑いポイントだったな。
お祭り騒ぎでコイが跳ねるところまで面白かった。

そして冬。外堀埋めたかいがあったね、先輩。
偏屈王の先輩カッコよかったし刺さるわな。
李白さんのところ、映画見てたからスッと入ってきたけど、見たことない人はどう思ってみてたんやろか。想像つく?
李白の部屋でくしゃみする度背景がブレてて、細けーー!ってなった。
謎にみんなでタイトルを叫ぶところはなんかよくわからんかったが、雰囲気でオッケーだった。
先輩のくだり、まじで近況報告だけで笑った。
脳内会議のところすごかったな!何人出てきた!?
乙女がこの一年間の縁を辿って辿っていくのは、夜は短しの良いところに直結する良いシーンだった。
色んな縁に恐れなく飛び込む乙女が積み重ねてきたもの、劇で人間関係が集約されたお陰でより分かりやすくなった印象を受けた。

そして最後、また春が来る。桜、歌、進々堂
歌っぽい歌(ラップじゃないヤツ)はここ位か??良かった。かわいい。
初めての進々堂から一巡して、最後の進々堂に帰着する作りの良さがより際立っていた。

映像やステージの組み合わせで、光景が目まぐるしく変わってすごかった。今まで見た舞台は割と装置固定、演技で場面転換を見せる感じだった。
その印象で来てたら全然違うやんすげーなヨーロッパ企画、という感じ。
舞台に収まりきらない情報量でお腹いっぱい。
樋口さんと羽貫さんは若干存在感落ちた?他がいっぱい出番あったせいかな。

アニメの夜は短しを下敷きにしてた印象。
縁の深まり時間の流れの中を歩く乙女の魅力がパンパンに詰まった舞台だった。
3時間あっという間!楽しかった。笑いポイント多かった。みんな笑ってて一体感、ライブ感ありやっぱいいなと思った。
多少オーバーな方がよく見える舞台、中村壱太郎の歌舞伎パワー、めっちゃハマってた印象。
結構たくさんのセリフ系ラップがあった。その度に話や時間がグッと進む感じとか、話がまとまる感じがあった。セリフもスルスル入ってくる。
セリフと演技、映像に音楽が加わる事で情報の切れ味が上がるすごい体験だった。

とりとめなく書いた。気が向いたら整理する。
大満足の舞台でした。これからもどんどん行きたいね。

行きたい山

9月の黒部源流山行以降、どんな山に行ったかなと思い返すと

金剛山(健康登山 ランカーがすごい)

比叡山(半分観光)

・蓬莱山(琵琶湖バレーに徒歩で行く)

・竜ヶ岳(本栖湖キャンプのおまけ)

伊吹山冬(雪山リハビリ またしてもガス)

荒島岳(2月がっつり雪山 頑張ったし最高の景色)

藤原岳(GW滑り込み登山)

 

月1回行けたか行けてないかというペース。栃木に居た時と比べると、この時期なら実は頻度はそんな変わらない。にしても悲しい密度。骨があったなと思うのは荒島岳か。2021年度もこんな調子ではどうなってしまうのか。(一応、5/15-16で涸沢に行く予定だ。とっても楽しみ。)

 

関西に越してきて一年、車が無い事、ある程度標高があり景観に優れた山が近場に多くない事を理由にフラストレーションが溜まってきている。

このまま登りたい気持ちが消えてしまうのは避けたい。

なので夏~秋登山を狙ってやりたい事を記録しようと思う。

 

<行きたい山>

・くじゅう連山

・大山(鳥取

・燕岳

・木曽駒→空木岳

五竜岳

北八ヶ岳

・槍、劔(長めの休み取れたら)

 ・小野アルプス

熊野古道

・東北、北海道のいい山

・氷ノ山

 

どれも遠い。土日とも晴れていることが前提になるが、6,7,8,9月の週末は高確率で雨が降る。直前まで実行できるか分からないのが、大阪住まいの一番つらいところだ。

 

こればかりを狙うと行けるのは小野アルプス位でしたとなりそう。

関西に日常的に行って楽しい山は無いだろうか。六甲山か...。

同じ山に何度も行く事にモチベーションが上がらない辺り、自分の好みが知れる。

 

この隙間を埋めてくれる良い山は無いだろうか。

全敗中の伊吹山には恐らく行くだろう。

三重の山は結構良さそう。ただしアクセスが良くない。

日帰りだったら六甲山というか、須磨アルプスを歩き倒す感じになるのかな~~。2021年、レベルアップに繋げたいが悩む。

2020-09-12~15 黒部源流-雲ノ平山行

勤続のご褒美に、5日連続の有給休暇を取得する事になった。

本当はタイの同期を訪ねようと画策していたが、昨今の状況で難しい。空っぽの予定を何とか埋める事にした。

 

8月~9月、白山、涸沢・穂高、白馬岳と北アルプス方面を歩いてきた。登山を始めて3年位、テント装備を背負ってもコースタイム程度に歩ける事は確認した。せっかくだし、日本最後の秘境、雲ノ平に行こう。

以下はその記録です。

 

0.計画

 準備8割本番2割、と前に上司に言われた。何事も本当にその通りと痛感するばかりだ。勿論山でも同じという事で、コースタイム見合いの行動計画を作った。

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 結構きっちりやった(つもり)。実績はどうだったろうか。

今回の行程は以下。3泊4日47㎞、やり切りました。

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 ※鷲羽岳のピストンを記録し損ねてます。

 

1.9/12 折立→薬師沢小屋

 前日早々に仕事を切り上げて、サンダーバードと新幹線を乗り継ぎ富山へ前乗りする。

いつぞやのGWぶりの富山。あの時は車だったな。美味しいもの食べたかったけど、今回は泣く泣くスルー。ホテルで「黒部源流山小屋暮らし」を読んで就寝。

 朝、6時ちょい発のローカル線→バスに乗り、折立登山口に向かう。

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 味のあるローカル線。懐かしくなる。辿り着いた折立登山口。8時過ぎ、クライムオン!

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 そこそこキツイ感じと評されていたのでじわじわ歩く。まあ大丈夫でした。

 道中左を向くと、遠くに剱岳が!!地獄の針山に例えられる急峻な山容がここからでも分かる。思わぬ景色にテンションが上がる。

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 11:30、太郎平小屋到着。これから向かう山々が姿を現した。正面が雲ノ平と水晶岳。既に見晴らしがすごい!

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 太郎平のニンニクラーメンを美味しそう~~~に食べるおじさん達を横目に、せっせと昼食を摂り薬師沢まで一気に下る。

 坂と木道が入り混じる森の中を抜けると、段々沢の音が近づいてくる。

流れが近づく程傾斜が急になる事を、この山行では何度も経験する事になるのであった…。

 突如木造の小屋が姿を現す。14時過ぎ、本日のゴールの薬師沢小屋だ。

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 コロナのせいか、一人布団2枚分のスペースを提供された。横はビニール張り。快適!だけど山小屋は苦労が絶えないな…。

 荷物を置いてビールを飲み探索する。

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 最高やな。薬師沢のとってもきれいな水に冷やされた酒は最高。

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 吊り橋から見下ろす。落ちそう~

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 小屋のすぐそばで岩魚釣りをしている。沢釣りのおじさんと話し、岩魚釣りの醍醐味をたっぷり聞かせてもらう。人と魚の真剣勝負、これはハマる訳だ。

 実際何匹もの岩魚を目視出来た。夏をこの小屋で釣りしながら過ごすの、やってみたいな。

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 晩御飯は豚の角煮を始め非常に美味、水は潤沢、小屋は快適。素晴らしい一泊となった。

 

2.9/13 薬師沢→雲ノ平山荘

 当初は雲ノ平キャンプ場→水晶岳往復を計画していたが、午後から天気が最悪という予報だったので山荘泊に変更(太郎平小屋で決断していた)、朝の内にさっさと移動するつもりで6:15薬師沢小屋出発。

 薬師沢小屋から雲ノ平への登りは急登と聞いていたが、実際非常に苦しい道のりだった。

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 岩をよじ登る。辛かった…。大体1時間半位歩いたろうか。木道が始まり、傾斜が緩やかになり、目の前が開けた。アラスカ庭園!遂に雲ノ平に辿り着いた!

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 と喜ぶのも束の間、横殴りの雨と雷鳴が降りかかる。この真っ平で雷は洒落にならない。追い立てられて先を急ぐ。

 途中木道で滑って泣きながら歩くと、見えてきた雲ノ平山荘。8:40到着!天候回復するか分からなかったので、この日は停滞する事に決める。乾燥室に濡れたウェアを突っ込む。(一部最後まで乾き切らなかった。ショック…。)

 ココアを飲み、本棚の本を読み漁り、山小屋内を物色しながらだらだらする。本当にキレイでお洒落な小屋。泊まる事にして良かった。

 よなよなエールが置いてあるのもベスト。美味しかった。

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 黒部源流の父 伊藤正一さん。黒部の山賊ですな。

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 午後しばらくすると雨が止んだ!雲ノ平散策に繰り出す。

 道中なんとなく良かった景色を見直してきた。雲上の別天地に来てしまった。

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 眼前には立ちはだかる水晶岳、雲ノ平山荘。雲ノ平と水晶岳はニコイチやな。

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 夕食は石狩鍋。品数はともかくとして味がグッド。食べまくる。

 席のおばさんがしゃべり倒していたな。他の人の話を全て自分の山の話にもっていく姿は手塚ゾーンも驚きの吸引力。明日新穂高まで帰るらしい。体力は凄そう。

 夜、スライドショーを見る。小屋番の伊藤二朗さんの話とともに、黒部開拓時代の写真を通じて山が今の形になる歴史を辿る。

 登山者一人ひとりから取り組むべき事がある、というのは今まで考えた事が無かった。享受するだけでない事、果たして自分に何ができるだろうか。

 雲ノ平山荘の優しさに包まれながら就寝。

 

3.9/14 雲ノ平→高天原温泉ピストン→三俣山荘

 朝、暗い中目覚めて朝食(フルグラ×スキムミルク)。フルグラは美味しいが満腹感が弱いのが難点。

 この日は荷物をデポして高天原温泉往復、雲ノ平キャンプ場宿泊を計画していた。コースタイムが意外と長い。ちょっと急ぎ目に向かう。濡れた石で転倒し、派手に擦りむいてしまった。これが今回一番大きな怪我になった。この程度で良かったと思うべきか。

 日が登る。この日は快晴!昨日とは見違える雲ノ平の姿に感激しながら歩く。

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 雲の中の雲ノ平山荘。この形はとりわけ印象的だ。雲ノ平の中心に鎮座するのにふさわしい、山と一体となる姿のように感じられる。 

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 高天原温泉への道中に電波塔。なんと電波が入る!各所に連絡を取って再出発。

 水晶岳越しの朝日が清々しい。奥スイス庭園の雰囲気も見事。荷物も軽い、足取りも軽快。このために山をやっている。

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 高天原へやや急な下りを歩く。高天原峠を過ぎると快適な道に入る。森の中を歩く。八ヶ岳を思い出すな。

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 高天原から薬師岳を臨む。たおやかで美しい。いいなあ~

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 出発2時間後、本当にこんなところに温泉があるのか…?と思いながら歩くと、 硫黄のにおい。沢沿いにあばら屋が。

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ホントにあった!高天原温泉だ!!

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 中にはまごう事なき硫黄系温泉。2日ぶりに、しかも山の中で温泉に入れるなんて最高…!

 温度はややぬるく、いつまでも入っていられる温度。傷にも意外としみなくて良かった。沢を眺めると、そこには野天風呂。浸かり直す。

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 この中で温泉、最高だ。この魅力は、来て見て入ってみないと分からなかったな。湯温のお陰で服着た後汗だくにならなかったのも良い。

 足取り軽快、雲ノ平への道を戻る。道中の景色がまた素晴らしい。歩荷さん。

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 伊藤二朗さんとすれ違った。重そうやな~ 薬師岳、驚きの雄大さ。

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 水晶岳。ただただ、素晴らしい景色。

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 なんと11時半には雲ノ平に戻ってこられた。今日を終わりにするのはもったいない。行程を早め、三俣山荘へ向かう事に決めた。昼食を摂り、12時過ぎに出発。

 重量20kg弱が襲い掛かる。重さは敵。辛い。苦しい。肩が痛い…。振り向くと遠くに雲ノ平山荘。絵になる小屋だ。 

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 スイス庭園と山々の対比が美しい。

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 薬師岳の美しさたるや。今度は登りに行きたいな。

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 木道をずんずん歩く。振り返ると遠くに高天原山荘が見える。(谷の合間)随分遠くに来たもんだ。

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道中のだだっぴろいエリアで休憩。この辺で、今まで鷲羽岳だと思っていたものが祖父岳で、目の前が三俣蓮華で、鷲羽岳は全然違う山だったことに気づく。

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 三俣蓮華岳は、横から見た姿が非常に良い。ペルソナ4のコノハナサクヤの様では??

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 鷲羽岳は横から見るとぴんと来ない。

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 ここから一気に沢に向けて下って登り返す。辛い!目の前に三俣山荘は見えているのに、かくも遠い道のり。

 最初下りきると、沢にロープが渡してある。これを渡るか、と思った瞬間ピンときた。地図と照らしてみる。ここが黒部源流だ!

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 感極まる。顔を洗ってぼけーっと流れに耳を傾ける。ここまできたんだな。歩いてきてよかった。流れ美し。ここから山を穿つ大きな流れに成長していくのかと思うと、自然のパワーに圧倒される。

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 ここから登り返す。重い。大変。

 上に青空が見えてきた。登り切ると、そこには巨大な鷲羽岳。14時半、遂に着いた、三俣山荘だ!

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 小屋で手続きし物色する。喫茶でカレーを注文。こんなに美味しいカレーは無い。感動。生きててよかった。ここのコーヒー作ってるとこ、素晴らしくお洒落で良い。

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 今日の我が家を建てる。飯を食べる等して就寝。

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 夜は思ったより冷えた。ぎりぎり寝られたものの、寝袋が濡れてたら…もっと天候崩れてたら…ダウン系持ってきてなかったら…と思うとしんどくなった。

 

4.9/15 三俣山荘⇔鷲羽岳→双六→新穂高温泉

 朝4時起床。朝食は米、親子丼、味噌汁。5時過ぎ、空身で鷲羽岳へ登る。

 ガレた急登だが体は軽い。徐々に日が昇り始めていく。黒部五郎岳の方に、鷲羽岳の影が映る。すごいものを見た気持ちになる。

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 鷲羽岳登頂。登り切ると黒部の山々と槍穂高の大パノラマ!

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 水晶岳、赤牛岳を結ぶ稜線の美しさ。また全然違った表情を見せる。今までの道のりを噛みしめて感無量。遠くには立山だろうか。これを歩けたら気持ち良いだろうな。

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 ひとしきり楽しんでテントに戻る。

 この間、色々調べた結果16:55発のバスで高山駅→大阪まで帰れる事、時間が十分ある事、テント泊が寒すぎた事、双六小屋のテント場がすごく寒そうに見えた事を踏まえ、新穂高温泉まで下る事に決めた。

 テントを乾かし撤収し、8:00出発。

 鷲羽岳を振り返る。非常にかっこいい。いいテント場、いい小屋。良い場所だったな。

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 三俣蓮華岳を登り、双六岳への稜線を歩く。アルプスの景色、空の上を歩く。最高だ。

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 双六岳も大展望。

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 笠ヶ岳に続く稜線。本当に”笠”だ。素晴らしい形。

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 双六岳の下に「天空の滑走路」なるエリアがあるらしい。何かと思うとその通り、 槍ヶ岳に飛び立つカタパルトだ。

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 10:30双六小屋到着。十分間に合う。五目ラーメンとビールをキメて新穂高温泉へ向かう。

 当初宿泊予定の双六キャンプ場を眺める。谷間の池と幕営場。爆風で寒かったな。泊まったら凍えていた事だろう…。

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 稜線を歩きながら弓折分岐→鏡平と下っていく。横には西鎌尾根越しの槍ヶ岳穂高の大展望。これが見れるコース、大満足だ。

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 前回、白馬岳で下山後に発熱する等した。原因は多分、下りで自分の限界以上の体力を消耗してしまったせいだと思う。先輩がいう軽い熱中症というのもあっただろう。

 今回は律儀に給水休憩カロリー補給を行い、小池新道を下っていく。非常に歩きやすい道だが距離があった。登るのも大変そうだ。

 14時、わさび平小屋に到着。キンキンに冷えたキュウリを食べて水分塩分補給し、最後の歩き。1時間だらだら歩くのは地味にきつかったな。

 15時、新穂高温泉到着。お疲れさまでした!!!

 

5.振り返り:実績と反省

 計画通り動いたのは初日のみという結果でした。

 ・2日目:悪天候のため山荘に停滞。水晶岳は登らず。

 ・3日目:雲ノ平テント泊→三俣山荘テント泊に変更

 ・4日目:双六小屋キャンプ場泊を取りやめ新穂高温泉へ直行

(良かった点)

 予想以上にコースタイムを巻けた事を踏まえ、3日目に動いたのは良い判断だった。

 5日目は荒天も予想されていたので、結果2日目以外はびしょ濡れにならずに済んだ。

 ある程度コースが頭に入っていたので、色々迷わず動けたのも良かった。初めての山だが、ある程度イメージを持って動けたお陰で余裕があったし、早く動けた事にも繋がったと感じる。

 体力的には問題なかった。下りで体を労わったお陰か、筋肉痛もそれほど出なかった。

(反省)

 リサーチ不足。

 「濃飛バスターミナル=高山駅」という事を調べきれず帰りのバスを13:55発に絞っていたので、鷲羽岳で調べていなかったら4日目5日目を持て余す事になっていただろう。

 しかも今回の山行は宿泊場所でほとんど電波が通じず、明日の天気も検索困難な山行になった。(これも考えてなかった。ラジオあると良かったか。)

 そして山小屋、食事提供してない小屋でもなんと軽食は提供していた。HPにそこまで書いてあっただろうか…?これを踏まえれば、もうちょい食糧削れた。

 こういった情報を調べられていれば行動の選択肢も広がっただろう。準備8割と言いつつ、実際は5,6割だったなと反省。

 あとは9月の寒さが想像以上にきつかった。

 三俣山荘で天気が荒れていたらまともに寝られなかった。寝袋の保温機能を上げる装備を持っておくべきだった。(カバー等)

(困った点)

 雲ノ平山荘の乾燥室が微妙でタオル等が乾き切らず困った。タオルはともかく速乾のものが要る。雲ノ平山荘で買った手ぬぐいが重宝したから使っていきたい。

 荷物はやっぱ重い。重さが偏っていたのか左肩ばかり痛くなった。電子機器、食糧、衣類が悪さをしている感じがするが、減らす気もそんな無いのでパワーをつけるしかない。

(食糧計画)

 ・朝食はフルグラを食べた。美味しいが、イマイチ食べ応えがない。50g/食とあるが80g位食べないと溜まらない感じ。あとスキムミルク必須。

 ・パスタはそこそこ。ただカロリーが足りない。強めの副菜が必要。

 ・棒ラーメンは中々良いが、とろみのせいで食器の後始末が面倒。

 ・アルファ米は安定。後片付けも楽。泊数が少なければ米メインで良い。

 ・魚の缶詰は、米と食べると(猫まんま的な感じで)汁の処理まで出来るからセット運用が良い。

 ・初日は保存効かないもの、多少重いものも食べられるから、今後も色々持って行って試したい。

 行動食:

 ・山用っぽい塩もちが美味しく腹にたまる感じでよかった。

 ・最強の行動食はカルパス(丸々1本で100円)。1本で200kcalちょいかつ高たんぱく。本当に消耗してる時に食べないとカロリーも塩分も過剰な食べ物なので、使い時と食べすぎに注意。下界では危険。

 ・プロテイン入りウエハースやカロリーメイトは安定だが、腹持ち弱い点が課題。

 ・久々にスニッカーズ買ったけどこれはgood。食べ応え抜群。

(全体を通じて)

 ともかく3泊4日、致命的なケガや事態にも遭遇せず歩き切れた事が嬉しい。成長を感じる。

 この世のものとは思えない景色の中を、最高の天気で過ごせた事は忘れられない体験になった。

 なんでこんな苦しい事やってるんだという気持ちと同じ位、山楽しいという瞬間があって、登山やってて良かったと実感。集大成に相応しい山行になった。

 

 雲ノ平山荘で、伊藤二朗さんは「登山者から行動を起こす」事について述べていた。

 山を歩き続けるために、自分に何ができるだろうか。自分の事ばかりで、考えた事もなかった。

 今のところお金を落とし続ける事位しか思い付かないが。考えながら、登山を続けていきたい。

 

以 上

2020-08-12~14 涸沢→奥穂高→前穂高

前の岩手山から1年位ほったらかしていた。ブログに書いてないだけで、山には引き続き行っている。

この間、栃木から大阪に引っ越す等大きな変化があった。車も失い楽しい山へ行きづらくなったが、唯一アクセスしやすくなった高山がある。そう、北アルプスだ。

天気も見えぬ中、8月連休を使い上高地へ向かう私。2年前の雪辱をいざ果たさん。

 

1.8/11 夜行バス→上高地

 栃木に居た時は「東京まで出る」という余計な行程があったが、大阪からは直接行ける。北アルプスがアクセスしやすくなった所以だ。

 午後にホームサウナの大東洋で英気を養い、21時に夜行バスに乗り上高地へ向かう。

 座席3列、人はガラガラ。コロナは恨めしいがこういうところは有難い。

 気が付いたら眠りこけていた。

 

 ここで当初の計画を説明しよう。

 8/12 上高地から涸沢へ向かう。

 8/13 涸沢から奥穂高岳を目指す。穂高岳山荘へ宿泊。

 8/14 ①涸沢へ引き返し上高地へ戻る

    ②北穂高岳に向かい、涸沢へ降りて上高地へ戻る

    ③前穂高岳へ向かい、重太郎新道から上高地へ戻る

 穂高岳山荘へ泊る事が一つの目的だったのと、白山テント泊での重量感を加味し今回は2泊とも山小屋泊という贅沢山行を敢行。

 3日目の行動は天気と自分の元気を見て決める事とした。

 尚、2年前の同じ時期に涸沢小屋まで行った。その時は天気が悪すぎて、奥穂高岳に登る事なく雨の中撤退したのだった。

 リベンジ戦、期待半分不安半分の出発だった。

 

2.8/12 上高地→涸沢ヒュッテ

 5:20 上高地着。

 バスターミナルでは多くの登山客が出発準備をしていた。私も飯を食べながら準備を進める。

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 のんびり準備し6時前出発。どんよりとした雲の下、徳沢→横尾→涸沢へと向かう。

 下道3時間は相変わらず単調。大体同じ位置にサルがいるのは面白い。

 時間的にかなり余裕があったので、徳沢でアフォガードを食べてのんびりと向かう。

 

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 横尾からはそこそこの登り。ガレ場トラバースのところ位で晴れ間が見えてきてテンションが上がる。

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 5時間半後の11:20、涸沢カール到着。2年前よりは晴れている!テンションが上がった。

 

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 前はなんだか良くわからなかった逆サイドの山もよく見える。今回はあれが常念、大天井の稜線だということが分かる。多少知識がついたと実感。

 前回は涸沢小屋だったので、今回は涸沢ヒュッテに宿泊。部屋はなんと布団一枚分の個室!素晴らしい環境。

 ついてからはひたすらキンドルで四畳半タイムマシンブルースを読んだり昼寝をしながら夕食を待つ。時間使いが荒い。

 度々雲が切れるのを期待して外に出たが、天気はじわじわ下り坂で途中から萎えてしまった。

 コロナの影響で談話室も閉鎖中。山小屋での究極の暇つぶし、「岳」を読むという退路も断たれてしまった私は、四畳半どころか一畳もあるかないかの個室に籠るしかなかった。

 

 17:00、美味しい夕食を食べ就寝。日付が変わったくらいに外に出たら、若干の星が見えて気が紛れた。

 

 尚、この間に四畳半タイムマシンブルースは読み終わってしまった。

 私の大学生活に深々と突き刺さる四畳半神話大系と、サマータイムマシンブルースの親和性には中々満足できたのだが、ちょっとボリュームが少なかったな…。

 

3.8/13 涸沢ヒュッテ→穂高岳山荘

 真っ白な雲に包まれて朝食を食べる。

 と書くと中々良さそうだが、実際は白いもやもやの中で景色も見えずに味気なくパンを齧るのだからやっていられない。

 この日は朝から雨。天気が持ち直すまで粘ろうと、朝の8時まで部屋でゴロゴロしていたが、流石に堪えかねて一路ザイデングラートへ向かう。

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 これでも雨が止んだ時を狙ったのだが、登り詰めるにつれて雨が強まった。

 外は寒いのに体は熱いという悪循環、悩んだ末半袖の上にシェルジャケットを羽織り登っていく。

 パノラマコース(何も見えない)を歩いて1時間、ようやくザイデングラート取り付きへ到着。

 巨大なワニの顔がお待ちかね。よく見るとワニの頭の上を人が登っている。これがザイデングラートか。雨脚強まる中、岩をがしがしよじ登る。

 確かに道は狭く歩き辛い。もはやクライミング。雨で気持ちはさらに落ち込む。滑らないように注意して歩く。

 

 1時間弱登っただろうか。何やら人がごみごみしている。

 電話しているお兄さんと、支えられてキョロキョロしているおじいさんがギリギリ道を避けて立っていた。よく見るとおじいさんの頭部から血が出ている。滑落したのか!

 緊張しながら接近すると、上から大量に人が降りてくる。先陣を切るお兄さんが一言「兄さん、そこで待てるか??」

 どうやら私は待機するしかないらしい。岩の間にすっぽり収まり、団体さんが通り過ぎるのをひたすら待つ。

 一行は登山ツアー客で、2人の山岳ガイドが先導していた様だ。

 滑落したおじいさんは意識はしっかりしているものの、腕に結構なケガを負っているらしい。折れていたかも。時折顔をしかめながら、「何が起こったか分からない」みたいにボケっとしている、様に見えた。

 ツアー客はおじいさんおばあさんの大所帯だった。今日どうしても移動しなければならなかったのだろう。雨の滑りやすいザイデングラートで、よくもまあやるもんだと呆れを通り越して応援する気持ちさえ芽生えてきた。

 最後の登山者を見送り、ケガをしたおじいさんの無事を願いながら岩をよじ登った。

 一体俺は何をやってるんだろう、何故こんなところに来ちゃったのだろう、今年も穂高はあかんのか…と暗澹とした気持ちも連れて。

 この滑落、明日は我が身だと身に染みた。と思っていたが、この後私自身結構ひどい目に(自分のせいで)遭ったので、全然身に染みてなかったと反省している。

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 10時過ぎ、ようやく穂高岳山荘へ到着。

 着くころには全身びしょびしょ。ズボンもじんわり湿り、パンツまで濡れていた。(前傾するとズボンの隙間に雨水が流れてくるからだと気づいたのは後のこと。)

 雨具、結局信用ならないのでは?と思うがたまにしか使わないので判断が難しい。まずは脱げるところまで脱いでチェックイン手続きを行う。

 今日の部屋は「浅間山」。この部屋も隣と間仕切りがある空間。北アルプスの山小屋はクオリティが高い。

 晴れたら眼前の奥穂高岳へ突撃しようと思っていたが、天気は中々晴れない。

 部屋着に半ズボンしか持ってこなかった事を後悔しながら、ラウンジのストーブで暖を取る。

 横に座っていたおじさん、よく見ると大阪のバスターミナルでちょっと話した人だった!びっくり。

 涸沢にテント張って今日は穂高岳山荘に泊まり、明日帰るとの事だった。もう奥穂高岳にも登ってきたとの事。やるなあ。山の楽しみ方も色々だなと思いながら、乾燥室の服の様子を伺いながらキンドルワールドトリガーを読みふける。山小屋で読むと面白い漫画、私はワールドトリガーメイドインアビスゆるキャン△をおススメする。

 

 14時半くらいだろうか。なんと雲が切れてきた。体力も有り余り晩御飯まで結構余裕がある。そこそこ乾いた上着とズボンを急いで着て、急ぎ山頂へ向かう。

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 コースタイム50分だったが、空身のお陰か30分で登頂。奥穂高岳、日本で3番目に高い場所に立てた事に感動。

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 既に数名いた学生と、爆風の中雲が切れるのを待つ。

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 雲が切れた!そこには急峻な岩の山々が鎮座していた。景色に思わず声が漏れた。学生と謎の一体感が生まれる。

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 他方目をやると、巨大な怪獣の背びれがぬっと姿を現した。これがジャンダルム。よく見ると標識が立っている。これを乗り越える人が居るんだな…と驚嘆。

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 しばらく景色を眺め、再度雲に覆われたため山荘へ戻る。はるか眼下には涸沢のテント場が見える。下から見上げていた、岩と岩の間に自分がいる事を実感した。

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 戻ってくると、嘘のように雲が取れた。向かいの大天井岳方面がよーーく見える。岩に覆われた穂高側と違い、緑と土に覆われたなだらかな稜線が非常に楽しそう。

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 そこからは、もくもく成長する入道雲を眺めながら夕食を待つ。

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 18時半、日が沈む。午前中が嘘の様な幻想的な光景に、本当に来て良かったとジーンときた。

 夕食の時、前に居たおじさんと話して奥穂→前穂→重太郎新道→上高地ルートで帰る事を決めた。

 「涸沢岳通って北穂高行くのどうですかね~」と言ったら「あんまり下手なことは言えないけど、前穂の吊り尾根の方がまだ怖くないかなあ」と言われ、改めてコースを検討。

 実際涸沢岳から北穂高へ向かう道は危険箇所の連続で、コースタイム的にも焦ってようやく15:40のバスに間に合う感じだったので、比較的危険マークが少なくコースタイム通りいけば帰りに間に合う前穂に行く事にしたのだった。

 19時位、就寝。23時位に目が覚め外に出ると、天の川の様なベールと一面びっしりの星空が出迎えてくれた。

 自分の目に見えるものなんて、世界のほんの一部でしかない事を実感した。

 

4.8/14 奥穂→前穂→重太郎新道→上高地→大阪

 4時、日の出前に起き出し涸沢岳へ向かう。ライトを頼りに、青い世界を一人歩く。

 30分程度かかり、涸沢岳山頂に到着。日の出を待つ。f:id:alpharalpha:20200818073000j:plain

 4:45位、空が赤く染まり始める。

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 槍ヶ岳がはっきりと見える。上高地に来て、ようやく拝むことが出来た。屹立する槍の穂先は、どんな山から見てもそれとわかる憧れの象徴だった。

 本当に北アルプスに来たんだなと、ようやく実感できた。近づいて一層威厳を増す槍ヶ岳、次は是非登りたい。また新しい目標が出来た事を嬉しく思う。

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 奥穂高岳も赤に染まる。涸沢は、さぞ美しいモルゲンロートだったことだろう。ちょっと悔しい。今度は涸沢テント泊したいね。

 5時過ぎに美味しい朝食をたっぷり食べ、6時に小屋を出発、まずは奥穂高岳へ向かう。

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 奥穂高岳。驚きの晴れ。みんな小屋とのピストンだろうか。山頂では写真待ちの列ができる盛況ぶり。

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 空と地表の間にそびえる槍。圧倒的存在感に感激。

同時に、涸沢岳から北穂の道やべーと再認識。行かなくてよかった。

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 気を引き締め、吊り尾根そして前穂高岳へ向かう。

 見えている尾根を歩いていく。中々怖い道だった。思い返すと、最初の鎖が一番怖かったな。足がつけるか分からない恐怖は武尊山以来だ。

 絶対生きてワールドトリガーの続き(21巻位)を読むんだ、と思いながら尾根を歩いた。

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 小屋を出て2時間、紀美子平へ到着。荷物をデポして前穂高岳へ登る。この道も中々危なかったな。岩稜の経験値不足を実感。

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 山頂に着いた。北アルプスの山々を見晴らせる素晴らしい光景。パノラマ写真を取ったが本当に圧巻。こんなに晴れるとは思っていなかった。憧れた山に自分が居られるのは本当に嬉しいのだ。

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 来た道(奥穂高岳)を見返す。ここに道がある事が驚きだ。

 一休みした後、9:00紀美子平を出発。北アルプス屈指の急登という重太郎新道を下る。

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 これが下ったルート。お分かりいただけるだろうか。なんと重太郎新道に入って早々、コースを間違えてしまった。

 最初の鎖を下り終えた直後、矢印に従って順路に入った、つもりだった。

 やや踏み跡のある、ガレガレの谷筋だなあと思いながら下っていた。

 人もいないし、目印もないし、本当にこれ歩かせるのか??でも重太郎新道は激坂というから、こういうものなのか…しばらく葛藤しながら、いよいよこの道はヤバいぞ、と思ってスマホを見ると上記の状態。コースを外れている!

 分かった瞬間の焦りは今でも思い出せる。落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせ、来た道を慎重に登り返す。

 登り返すのもヒヤヒヤだ。登山道でないという事は、いつ崩れてもおかしくない。

 自分が落ちないよう、岩も崩さないよう、慎重に来たルートを登り返した。

 絶対生きてワートリの続きを読む。この山行はワートリに命を救われた。

 

 格闘した時間はトータル20分程度だったと思う。ようやく〇印のある鎖の直下に戻ってきた。思い返すと20分だが、この山行で最も長い時間に感じられた。

 

 その後おろおろと正しい道を探すが何故か見当たらない。後続の人が来ているから、一緒に道探して下ろうか…等思っていたら、急に下に行く道を発見した。

 見つけてからだと、非常に分かりやすい鎖の下りだった。何故これで間違えてしまったのだろう。ショックを受けながらも下っていく。

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 正しい道に入ってからも重太郎新道は危険だった。鎖がある方が安全で、何もない所の方が危ない。ガレてるし砂っぽいしで滑りそうになるが、滑ったら結構洒落にならない落ち方をするだろうという道。鹿が通れるから人も通れるだろうと道を開いた重太郎にアホかと悪態をつきながら下っていく。

 途中の景色はゴールの上高地から乗鞍岳まで見通せるグッドビューだったが、同時に先行きの長さを感じてまたげんなり。

 それでも結構すれ違う人が居たから驚きだ。頑張りましょうと声掛けながら下っていく。

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 二時間後、岳沢山荘に到着。結果的にコースタイム通り下ってこれたのかと胸をなでおろす。

 下り降りてきた道を振り返りながら、無傷でここまでこれた事に感謝して休憩。

 この世の全てに感謝していた結果、足を挫いたという大学生にテーピングテープを全部あげちゃう位には気が大きくなっていた。その結果めっちゃ元気になった彼に颯爽と置いて行かれたのも面白かった。

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 岳沢を11:30位に出発。最後はいつもの登山道という感じ。無心で下っていく。

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 13時前位、岳沢湿原到着。ここまでくると最早登山客はいなくなり、観光客ばかりとなる。

 後は平坦な道を歩いて河童橋に到着。山行は無事終了した。

 上高地には観光客がたくさんおり、なんだか違う世界に来てしまったなと若干悲しくなった。

 昼飯を食べようと思ったが、ぼったくり価格の定食にげんなりして結局ビールと行動食のナッツで空腹をやり過ごした。

 

 15:40までアイスを食べたりワートリ読んだりしながら時間をつぶし、バスで大阪まで帰る。これにて3日間の登山は終了。無事自宅に到着した。

 

5.振り返り:山とケガと道迷い

 今回の山行で、ケガをしている人を3人位は見た。

 ①ザイデングラート滑落おじいさん

 ②穂高岳山荘で足を治療されていた人(後ろ姿のみ、詳細不明)

 ③足挫き大学生

 歩いてみて、北アルプスは難しい山だと実感した。細い道、岩登り、荷物は必然的に多くなる…等踏まえると、通常以上にリスクが大きい事は明らかだ。

 ケガをしないために、余裕を持つ、天気をよく見る、道をしっかり把握する、水食事を十分摂る、何より慎重に!といった基本姿勢を一層守らねばならない。

 道迷いについて、岩稜でのコースファインディングに自分が不慣れな事を痛感した。

 そもそも、奥穂高岳に行く途中でも若干道を間違えた。目印がなくても、人の入った雰囲気を感じて進んだ結果だった。フラグは立っていたのだ。

 間違うべくして間違った今回の山行。以下の点を肝に銘じ、山を歩こうと考えた。

 ①目印確認を怠らない。

  岩稜ではほぼ必ず目印がある。律儀に探す。

 ②地図や事前リサーチから正しい道を判断していく。

 ③私が危険と思う道は多分登山道ではない。

  ガレていて岩がボロボロ落ちる→人が通っていない。

  アクロバティック、再現性のない登り下りを要求される→登山道として不適切

 ④地図をよく見る。GPSが生きている状態キープがベスト。

 ⑤間違ったときこそ落ち着く。できる事を一個ずつやる。ゆっくりでいいから、失敗しない。

 

6.振り返り:北アルプス

 色々と反省が多い山行だったが、この晴れ渡った北アルプスを歩けたことは素晴らしかった。雨の中頑張った甲斐があった。一見無謀なことにも飛び込んでいく方が、得られるものがあると実感。

 これを糧に、引き続き北アルプス探訪を進めたい。次はテントで。

 

以上

2019-07-06~07 岩手山

ゴールデンウイークが明けてから、日本中天気が悪い。

この間平標山~仙ノ倉岳や、六甲山(なんと仕事で)、尾瀬へ行った。尾瀬は雨。6月は山自体1回しか行けなかったな…。

そんな中で7月、晴れている山を求めて岩手山へ行ったので以下記録する。

最初に総括すると、場所毎に特徴立っていてRPG気分を味わえる良い山だった。

 

1.行くまで

八戸出張の際、盛岡駅を越えた直後に現れる岩手山。キレイな三角でいい山だなと思っていた。

6月の山行不足が明らかにストレスになりつつあったため、意地でも山に行こうと晴れてる山を探す中で、見つかったのが岩手山秋田駒ケ岳だった。

また山行の直前に、念願のテン泊対応リュックが届いた。

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NORTH FACEのTERRA65 店舗で見かけて腰背中のフレーム、分厚さとガバッと開けるチャック、そして何よりカラーリング(背面の赤!)に魅かれた。

店舗で2万円後半だったが、ネットで調べるとなんと1万6千円。価格もバッチリだったため購入したのだった。

しかし購入先が海外サイト(スペイン)。届くまで約半月かかり、届いた時は箱がボロボロ。中身に影響なくて安心したが、二回目使うのは勇気がいるなあ。

今回はリュックの性能テストも兼ねて、テント泊セットを詰め込み岩手山一泊二日山行を行うことに決定。(避難小屋泊のため、テントは不要だったが…)

金曜深夜に出発し、5時間運転して岩手山へ向かったのだった。

 

2.7月6日往路 七滝口~お花畑~八合目避難小屋到着まで

5時間運転は、しんどい。鳥海山以来の深夜長距離運転だ。

途中のSAで仮眠のつもりが3時間寝ていて割と焦る。白む空に向かって車を飛ばす。

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眼前に突如現れた岩手山。異形の山だ。南部片富士と呼ばれるとの事だが納得。富士山にゴジラの背びれが生えている様だ。

今回は数あるルートの中で「七滝ルート」を選択。理由は、最悪ガスってても「滝が見られる/沼が見られる」事を期待してだ。この時はまだ、ウキウキハイクの気持ちで居られたのだが・・・・・・

6時位に準備完了、出発した。

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野鳥観測所なる建物。自由に使えるようだ。

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スタートから2キロ地点にある七滝。中々の高さと水量に胸が躍る。

この時トレランの集団に鉢会い、颯爽と追い抜かれる。この時は道幅も広く起伏もそこそこだったので、楽しいんだろうな~と思っていたが、後の道のりを考えるとようやるわという気分になる。

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曇りの中を歩く。この沢の辺りから道がぬかるみ始める。

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最悪ポイント「湯華採取場」。この白いのが湯華。おそらく温泉成分が流れ出し表出するポイントなのだろう。

こいつが曲者。踏むと乳白色の液を噴き出すスポンジの様なもの。

足の踏み場も少ないため、誤って踏み込んで靴が真っ白になってしまった。

その後もドロドロの中を歩く。

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流れの横を歩く。この水も温泉(火山?)成分たっぷりで濁っていた。

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花が綺麗。道中沢山の花が咲いており、夏山に来たんだなと思い直す。

そして踏み込む、大地獄谷。f:id:alpharalpha:20190714005915j:plain

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緑の道が一転して、荒涼とした岩と硫黄の世界に変わる。これは地獄。

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傾斜も道幅も狭く危険っぽい箇所結構あった。おまけにガス。冬だったらナイフリッジになるだろうなという道もそこそこありビビる。

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ようやく地獄を越えると、「お花畑コース」と「鬼ヶ城コース」の分岐に着く。これ以上はしんどいと予想し、お花畑コースを進むことにする。トレランの人たち、よくこんなとこ通ったなあ。

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道すがら花をめでる。

f:id:alpharalpha:20190714010418j:plain誰が書いたかユルい看板。

お花畑コース、とは名ばかりで道は結構キツイ。狭いし草木が道を塞ぐしで歩きにくかった。

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シラネアオイがまばらに咲く。ああ夏だなあ。

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突然視界が開けた。お花畑だ!

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 ワタスゲがびしょびしょ

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黄色と紫と白が点在する景色

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我々がニセモノと呼ぶもの。尾瀬ではミズバショウと見紛うばかりに幅を利かせていた。こんなところまで浸食していたとは…一体こいつは何なんだ?

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御釜湖そして猪苗代湖。鳥の鳴き声と自分だけがそこにある。

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岸辺に泡。たぶんシュレーゲルアオガエルの卵。

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見上げると岩手山。ガスガスやな。

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鬼が城ルート。急峻そうな稜線だ。行かなくて良かったと、この時は胸をなでおろしていた、が…。

お花畑での小休止を終えて山頂を目指す。ここからがハチャメチャにしんどかった。コースタイム1時間程度とあったが、道は狭く、草木に阻まれ、足場もよくない。2時間くらいかかったのではなかろうか。息も絶え絶えになりながら隘路を行く。

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景色が開ける。鬼の頭!これが鬼が城と呼ばれる所以か。

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しっかり石垣もある。これが自然の造形物とは!

登り始めて5時間弱、ようやく不動平避難小屋へ到着。

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これが岩手山頂なり 11時以降ガスる様だったので、避難小屋

に荷物を置いてとりあえず登る。

山頂の風景は浅間山を想像してもらえればと思う。噴火口の真ん中には妙高山。最高点は外輪にあるためお鉢を回る。

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真ん中にある妙高山。まるでバベルの塔だ。噴火とともに神の怒りも落ちた事だろう。

 

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お鉢を囲むように仏のレリーフが置かれていた。岩手山、勝手に穏やかな山かと思っていたが、火山のパワーで形作られた荒々しい山だった。

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登ってきた道を眺める。お花畑と湖が良く見える。

ここにきて、岩手山の西が火山であり、鬼が城が火口の淵、湖がカルデラ湖(のようなもの)だったと分かる。目線を変えて初めて見える世界があった。感動。

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山頂(ほぼ通過したのみ)

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今日は雲海。雲の上を歩く。

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ここは岩手山神社でもある。戦国無双で見たような刀剣が良い。山に刀だけあるのは男体山以来だな。

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本日の宿たる八合目避難小屋。避難小屋だが1,700円。でもキレイ。なにより水が使い放題。これめちゃくちゃ有難い。無限に無駄づかいできる…。

 

3.八合目避難小屋宿泊~鬼が城コース下山

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夕方、なんと晴れてきた。遠くに早池峰山が見える(右)。

見晴らしながらアルファ米とお湯で戻すカレー等食べる。アルファ米全然いけるわ。最高。

他にもパウチのイワシ等試したが良い感じ。∞水だからこそ沸かしたり出来た感はある。

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丁度届いたアル中のやつ(スキットル)を初使用 ウィスキー大好きー

振り返ると登山口が500mで最高点2,000m。ログを見ると累計高度1,900m強。今までの山行で一番高低差あったな。バッチバチに疲れた。泊りにしといて良かった。

途中から偏頭痛始まって避難小屋で死んでた。薬は必須やな。

7時就寝。途中起き出して星空を見る。天の川とはいかなかったが、溢れんばかりの星空だった。

 

朝4時起床。

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マジックアワー。クッソ寒かったので避難小屋で朝飯。小屋の中でバーナー付けていいのめちゃ有難い。

ゆったりして6時に出発。帰りは鬼が城コースを行く。

もうお花畑コースはこりごりだったのと、山頂から見下ろした時しっかりした道が見えたため。

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避難小屋があんなに遠くに。雄大なカールのような景色。やはり雲の上を歩く。

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真正面に岩手山。見上げるよりも全然良いな。

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左側は晴れ。秋田駒ケ岳かな?

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右手は帰り道。雲がじわじわと稜線を侵略していくのは延々見ていられる。帰りがガスなのは仕方ない…。

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花、花、花、青い空、緑の大地。

鬼が城ルート、険しいことには違いなかったが景色は良くアスレチック的な箇所もあり気分が良かった。途中や切通し等は若干傾斜あったが、それでもお花畑コースよりはよっぽどマシ。見かけ以上に良いコースだった。

聞くと最近まで火山ガスの影響で入ることが出来ず、イマイチ整っていなかったとの事。

帰りはまた大地獄谷を抜ける。下りの方が怖かった。五里霧中だった。

帰りは4時間弱。下りも1,500m、七滝コースは日帰りで行くもんじゃない。

 

4.総括

二つの火山が織りなす表情豊かな自然の造形に目を奪われてばかりの登山だった。

七滝、大地獄谷、お花畑、二つの湖、鬼が城、そして何より岩手山お鉢周りと、各地名に入る毎にステージが変わるような気分。

景色も文句なくそれなりに泊る事も出来る、非常に楽しい山登りだった。疲れたけども。

リュックもまあまあいけそうだったので、次は絶対テント泊山行やっていきたい。

また、山と食欲と私を全部読んだおかげで山飯ブームが自分の中で来ているので、これからもやっていきたい。

 

以上